三次元からきたブロンディ

冬の猿の三次元からきたブロンディのレビュー・感想・評価

冬の猿(1962年製作の映画)
4.2
記録

ジャン=ポール・ベルモンド傑作選16本目

本作をベルモンド傑作選で数年ぶりに再見した。名優ジャン・ギャバンと当時若手のホープだったベルモンドが最初で最後の共演を果たした唯一の作品でもあり、ノルマンディーを舞台に戦争をきっかけに酒を止めた男と突如と現れた若者との奇妙な友情関係を築く。

当初ベルモンドはギャバンに全く相手にされなかった。しかし徐々にギャバンがベルモンドを認め親友の間柄になったというエピソードが残っている。
本作ではそれを物語っているかの様に二人の関係が次第に距離を縮めていく。

親子ほど離れた二人の関係は打ち解けて酒に酔いハメを外す様は可笑しくもあり、愛しさもあり、どこか哀愁が漂っていた。漢気溢れる作品で、二人の演技を堪能し、脇役たちの存在感もこれまた良い。

監督はアンリ・ヴェルヌイユで、ヴェルヌイユはアクションやサスペンスだけではなくこういった文芸的な作品も作り上げてしまう多彩な作家である。