三次元からきたブロンディ

カラビニエの三次元からきたブロンディのレビュー・感想・評価

カラビニエ(1963年製作の映画)
3.5
記録

同世代に見える親子4人に二人の息子に召集令状が届いた。本作は反戦映画というよりかは当時の現代社会への風刺を描いた寓話的作品ではないかと感じた。
この4人の親子の名前がユリシーズ、ミケランジェロ、ヴィーナス、クレオパトラとそれぞれ神話や歴史上の人物の名前が主に付けられている。

本作の脚本はロベルト・ロッセリーニの戯曲をゴダールが脚色し、言うなればこれはヌーヴェルバーグとネオレアリズモを合わせた様な作品だ。

物語の内容としては資本主義と共産主義の両者の戦争を描き、ゴダールは毛沢東の思想を傾倒しており、共産主義を支持する人間のため本作では資本主義を根本的に否定をしている。本作のテーマからすると紛れもなくゴダールの政治的主張ではないかと感じられた。終盤のあの絵葉書もゴダールの主張が大きく出ていて、資本主義を反した描き方をしている。
戦闘以外は少し伸び伸びとした描写は多いが、本作はゴダールの政治的観点を観て行くと面白い作品の一つだ!