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コンスタンティンのymdのレビュー・感想・評価

コンスタンティン(2005年製作の映画)
3.4
カルト映画好きの間で語り継がれる(?)珍奇ファンタジーヒーローアクション。

今じゃ『チェンソーマン』のリファレンス元になったことで、よりカルト化が進んでいるようなそうでないような状態になっているけれど、後のコミックやファンタジー映画に対する影響力はなかなかに大きい作品なのだろう。
それだけギークの心を刺激するポイントが多い映画であるということは間違いない。

とにかくコンスタンティン(キアヌ・リーヴス)の造形が良いのが魅力の映画である。

重度の喫煙により肺癌で余命宣告された悪魔祓いという設定と、着崩したタイトなダークスーツと両腕を前で揃えた時に完成する紋章のようなタトゥーという、全ての要素が誰しもが心の奥底に眠らせている童心を叩き起こしてくる。金の十字架を模したショットガンなんて最高じゃないか!

キアヌはマトリックス3部作で確立したパブリックイメージを巧みに駆使しながらも全く新しいダークヒーロー像を見事に体現している。個人的にはネオよりもコンスタンティンのほうがずっと人間臭くてクールに見えて好きだったりする。

ストーリーは悪魔を題材にしていることもあって、非常に宗教色が強い。この手の知識を有していれば大筋から細かいマテリアルに至るまで、散りばめられたキーワードの理解が早いのかもしれないけれど、疎い人にとって(ぼくがそうだ)、この映画はかなり無愛想で寡黙な態度で接してくるので注意が必要だ。

プロットそのものはシンプルではあるのでいっそ舞台設計を無視してしまえばいいのかもしれないけど、それにしてはキャラクターの行動原理が宗教観に流れ込み過ぎているのでやっぱり充分に楽しむにはある程度の知識を持っている必要があるのかもしれない。

DC原案のヒーローモノとしてはそのスタイルはあまりにも先鋭的だったのだろう、冒頭に記したように一部のマニアからは熱狂な支持を受けるものの、マトリックス直後で飛ぶ鳥を落とす人気だったキアヌ主演作としてはあまり興行的には振るわなかった今作。

たびたび続編やドラマの噂が流れたもののなかなか実現に至ることはなく幻と化すかに思えたが、昨年ついに続編の制作が決定したそう。
ようやく、というより今更、という感想が頭をよぎったが、公開されたら観に行ってしまうだろうな、というくらいには期待していたりもする。
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