気楽に見始めたが、報道（新聞社）の低俗さを描いた傑作だった。

目先の売り上げしか脳にない社長が、20年前に法の裁きにより無罪となった女性に目をつけ、彼女を元殺人犯とし、近況を綴った記事を掲載。発行部数が増え、調子に乗る。

魔の手にかかった女性は、娘の結婚を控えていたが、相手方の両親は中止を訴える。。。


軽率な行動が生む悲劇。
居た堪れない。
主人公のエドGは最初は社長の意のまま記事掲載する編集長役。
彼の存在により救われた部分はありつつも彼自身もなあ、、、😤。

こういうのがいつの時代もいるから、
あまり記事は読まないし、目についても鵜呑みにはしないようにしている。
昔、素人の作文ばっかりだったヤホーニュースって今も変わらないのかなあ。


マーヴィンルロイ監督！
エンタメとしてもまとめ上げていて素晴らしい👏。

記者だけじゃなく経営陣や営業現場もひっくるめて、新聞社のクソっぷりを暴いた90年前の傑作。

権力は須く腐敗していく。欲と保身で。偽善に無自覚なマスメディア＝第四の権力のダブスタは、90年経った今なお変わらず「ブレていない」。

編集長の「今さら気づくな」「お前が言うな」のラストも含めて。

この年のアカデミー作品賞の候補で、もともとは舞台劇だったらしいが、以降、メディアから黙殺されてきた理由もさもありなん。いまだに似たようなことやってるし、そのDNAは「一億総芸能リポーター」なSNSの素人ジャーナリストやヤジ馬たちにしっかり引き継がれているからね。

映画テクニック的には、動きの少ない展開なのに飽きさせないのが地味に巧い。なかでも、電話保留中の三分割画面が秀逸。

信頼できるフォロワーさんのレビューに反応してAmazonを探したものの、「特輯」の字が読めなくて、なかなか検索に引っかからず。「特集」なんだってよ（カタチから、てっきり「特報」かと）。

発作的にエドワード・G・ロビンソンの顔が急に見たくなった。

【↓以下ネタバレがございます↓】

「特輯（特集）社会面（原題：FIVE STAR FINAL）」（1931）は、経営難に陥った大都市新聞「ガゼット」が、部数回復のために刺激的な特集記事へと舵を切る。20年前の殺人事件を蒸し返す方針を打ち出し、編集長ランダルは倫理的に疑問を抱えながらも、組織存続のために従わざるを得ない。記者たちは潜入取材や偽装調査まで駆使して過去の当事者に迫り、新聞社内部でも良心と利益追求の葛藤が揺らぎ始める。

事件の渦中にいたナンシー・ヴーリースは、無罪判決後に名を変え、夫と娘ジェニーと共に静かな生活を築いていた。しかし新聞社の再調査が動き出すことで、彼女の新たな人生に影が差し、娘の結婚を控えた幸福な家庭にも思わぬ波紋が広がる。報道のネタとして扱われる過去と、当事者が守ろうとしてきた現在が交錯し、メディアが人間の生活を揺るがす構造が浮かび上がる。

気になっていた映画だが、やっと見られたという感じである。ストーリーとして真新しさはなかったが、演出効果には目を見張るものがあり、特に電話の場面による分割演出（スプリット・スクリーン）は、よくデ・パルマが多用するので思い浮かぶが、この時代から行われていたことに驚きを隠せなかった。

ランダル（エドワード・G・ロビンソン）が、石鹸で手を洗う場面が理由もなく2、3度あるが、それは単なる癖ではなく、汚いものを洗い流そうとする罪悪感からの無意識の行為による意図的な演出として見える。

かつて報道機関として新聞、雑誌やテレビは、第4の権力と呼ばれたが、現在はオールドメディアと揶揄される事実に異論はない。しかしテレビが洗脳する機械なのではなく、そもそも映像という媒体自体が、視聴者の感情へ誘導を働きかける構造なのである。今、SNSや動画配信で誰もが発信力を持ち、私を含め、その言葉が他人の人生や命さえも左右し得ながらも、実体すら覚束（おぼつか）ない、匿名で無責任な攻撃が横行する現状を前にすると、むしろ法人として組織化されたガゼット誌の方が、倫理の片鱗を保っており、まだマシに見えてしまうのはどうしたものだろうか。

「フランケンシュタイン」（1931）でお馴染みのボリス・カーロフ（Boris Karloff）が、メイクを使わずともゴシックもといゴシップ記者役として怪演。