Jaya

風と女と旅鴉のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

風と女と旅鴉(1958年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

爪弾きの風来坊銀次が面倒見の良い仙太郎とともに故郷に帰ることになるノワール風味のアンチ時代劇。仙太郎が結局一度も刀を使わないのが面白い。

作品を覆う不思議な雰囲気。色んな箇所で予想を裏切る動き。といってリアリティが損なわれることが全くないのが素晴らしい。配役もズレてるようでやっぱり合ってる。劇伴はそのまま最高。カメラワークもピントの合わせ方が楽しい。

銀次のキャラクターと合わせて、兄ィと言いながら老いぼれ呼ばわりするさまがかなり新鮮でした。キスシーンに驚き。
登場人物たち全てが深みのある設定になっていて、しかも余計な説明が殆どないのが素晴らしい。テンポもかなり良い。

銀次が半蔵を追い詰めるシーンが心に残りました。小判には一瞥もくれず半蔵を睨み続ける銀次、カッコいい。でも金は貰ってたり。この辺りも凄く不自然なはずなのに何で違和感がないんだろう??

ラストのチャンバラは、急にエンタメ色出てきたと思いましたが、一筋縄でいかない描写が楽しい。

設定ではガチガチの時代劇ながら、現代劇だとしても全く違和感のないようなつくりで、こんな作品があったのかと衝撃を受けた名作でした。
Jaya

Jaya