神戸典

50回目のファースト・キスの神戸典のネタバレレビュー・内容・結末

50回目のファースト・キス(2004年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ハワイで毎晩旅行客を口説いては一夜の遊びを重ねていた獣医のヘンリーがある日、カフェでルーシーに一目惚れする。
しかしルーシーは1年前の事故で毎晩眠るとその日のことを忘れてしまう病気を抱えていた。
その事実を知ったヘンリーこれまでの一夜の遊びを止め、ルーシーとの会話をするために毎日、同じ時間、同じ場所であらゆる方法を試す。ある時には不審者と拒絶され、ある時には親密に話し合う。
ルーシーはヘンリーと話をした日は家で嬉しそうに歌を歌うことを父親から聞く。

ルーシーを傷つけまいと毎日同じことを繰り返しルーシーに秘密にする人。
そんな繰り返しの環境のままでは良くないとして事実を伝え、向き合っていくべきであると考えるヘンリー。
どちらかが間違いとかではなくどちらの選択肢もルーシーへの愛が感じられる。

しかし、たとえ二人がどんなに愛し合っても、翌日には何一つ覚えていなかった。
毎日事実を撮ったビデオを見せて1日1日を愛し合う二人。
しかし、ヘンリーがセイウチの生態を調べることが夢であることを聞き、ヘンリーの人生を奪ってはいけないと思い、ルーシーはヘンリーとのこれまでの日記を全て消去することにした。
そして二人は別れることとなり、ヘンリーはついに出発の時が来るが、ルーシーとの思い出の曲を聞き、ルーシーの元へ駆け寄る。
ルーシーが自分のことを覚えているという可能性を信じて。
しかしルーシーは覚えていなかった。
覚えていなかったが、彼女は毎晩夢の中でヘンリーと出会っていた。
彼女のアトリエにはヘンリーの絵がたくさん飾ってあった。

愛する人に忘れられるつらさと、それでも一緒にいたいという思いが耐え難いほどに苦しくも美しく描かれている。
二人を取り囲む愉快な仲間たちも映画の世界をより一層温かい作品に仕上げている。
最後までルーシーの病気が治らなかった事が完全なるハッピーエンドではなくて、おとぎ話と一緒にすることができなくなっていてよかった。

ヘンリー役のアダム・サンドラーの優しい話し方と表情が役にはまっていた。
ライアンゴズリングのような語り方をする俳優。
神戸典

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