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ドラキュラのHKのレビュー・感想・評価

ドラキュラ(1979年製作の映画)
3.5
ブラム・ストーカー原作の『吸血鬼ドラキュラ』を基にした舞台劇の映画化。
公開時に劇場で、その後TVでも観てますが、今回約40年ぶりの鑑賞。
監督は『サタデー・ナイト・フィーバー』『ブルー・サンダー』『ハード・ウェイ』などシリアスもコメディもこなすジョン・バダム。
ジョン・ウィリアムズの不穏で格調高い音楽がイイ感じ。

ドラキュラ役は当時の舞台の当たり役だったフランク・ランジェラ。
まだ若く甘いマスクは他の映画のドラキュラと違い女性ファンが多かったと予想されます。

舞台用の脚色のためいろいろと原作からの変更点もあるようで、オープニングはいきなりロンドンに向かう海上の帆船デメテル号の船員が全滅して難破するシーンから。
また、他のドラキュラ映画とはヒロインのミナとルーシーの立場が逆転、しかもミナはヴァン・ヘルシングの娘で、ルーシーは精神病院のセワード医師の娘という設定。

ヴァン・ヘルシング役には重鎮ローレンス・オリビエ。
他の映画では地味なセワード医師にドナルド・プレゼンス(『大脱走』『ハロウィン』)が扮し、院長を勤める精神病院内のシーンも多め。
ルーシー役はケイト・ネリガン(『針の眼』『ウルフ』)、このお三方はイギリス勢です。

実はアマプラでみつけたのはTV吹替版で、当時のTVに合わせて画面もスタンダードにトリミングされ、尺もTV洋画劇場枠の常で90分程度にカットされていました。
20分程度は切られていて編集も不自然だったりしますがいた仕方ないところ。
ロンドンに向かう船上で始まりルーマニアに戻る船上のシーンで終わったので、ドラキュラの故郷トランシルヴァニアのシーンは一切ナシでダリオ・アルジェント版とは逆。

やはり『魔人ドラキュラ』と同じ原作ベースと思われるセリフもチラホラ。
ドラキュラの下僕レンフィールドも登場しますが、本作ではドラキュラに会う前から虫を食す変人で途中から精神病院入りしたあげく悲惨な末路。

ドラキュラ映画は同じ原作でもどれも微妙に違うようですが、本作の一番の特徴は、他の映画では犠牲者キャラのルーシーとドラキュラが相思相愛になって愛を貫く展開。
本作はやはり女性ターゲットを意識した戦略だったのでしょうか。
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