イチロヲ

裸のランチのイチロヲのレビュー・感想・評価

裸のランチ(1991年製作の映画)
4.0
ドラッグ中毒の再発に見舞われている男が、北アフリカの町で麻薬密造業に関する諜報活動を展開していく。ビートニクの旗手・バロウズのラリパッパ散文詩を映像化している、サスペンス・ドラマ。

「文章のコラージュ」という特殊な技法を利用している原作を、(何となく)起承転結が付いた、劇映画に落とし込んでいる作品。原作者本人が映像化を支援しており、虚実不明瞭なアシッド空間を描いていく方向性になっている。

本作の主人公は、作家の執筆活動という体で、北アフリカの町に潜入。肛門で喋るゴキブリ型タイプライターを使用して、幻覚症状と対峙しながら、報告書を作り上げていく。内蔵モチーフのアートワークと、常人離れした奇想の連続が、とにかくキモチイイ。

あくまでも本作は、ドラッグ摂取の是非を問うものではなく、「ものづくり」とドラッグの関係性を提示している作品。ドラッグで精神を拡大させることが、ひいては創造につながるということ。もちろん、それが地獄に直結していることも、教示してくれる。
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