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スターシップ・トゥルーパーズのmatsuitterのレビュー・感想・評価

4.5
伝説のSF戦争映画&ブラックコメディの傑作!2017年の20周年で鑑賞。ポール・ヴァーホーベン監督は新作エルで復活したし、ちょうどいい機会。

以下ネタバレ。

好きなポイント。

1点目、最大の魅力は軍事政権プロパガンダを茶化したブラック・コメディ。はじめこれは笑っていいのかなと思っていたが途中からニヤケ笑いが止まらなくなってくる。政府の TV CM は欺瞞そのもの。戦場のテレビ中継とか頭がおかしすぎるしそれを2回もやるってw 普通にレポーター死んでるしw ふざけすぎでしょw

民主主義は否定され、軍に所属した経験のあるものだけが市民になれるという近未来的な軍国主義、かつ、試験の点だけで階級が決まるテスト至上主義、この人間社会の風刺的描写こそディストピア SF です。(最高に好きなジャンル)

間違って吹き替え版で観始めたがこのチープな軍国 CM パロディには完全にマッチしていたのでむしろ大大大正解だった。

2点目、青春モノから戦争モノに流れる脚本が素直に素晴らしい。前半、同級生だったのに階級の違いで死と隣り合わせの歩兵とパイロットとエリート将校に明確に分断されて別れが訪れる。そして後半は戦争の儚さそのもの。数字だけあらわされる犠牲者。仲間の死とか普通に泣けた。

最後は軍国主義の薄っぺらさを知っていても、命を掛ける人間に感動できる。完全にプロパガンダの意図そのもの。作り手の思惑通りだw

いまじゃぜんぜん気楽にできるテレビ電話が当時は存在せず、CDの配達で行ったりするのがSFの時代性が出てて笑えました。

3点目、当時の最高レベルの CG の無駄遣い。虫とかすごい違和感ない。わざと映像がカラッとさせて質感ゼロにしてるのでぜんぜん迫力ない。この映像はジュラシックパークの恐竜をやった人ですよ?!本作では巨大生物の恐ろしさ以上に虫の量と軽さがうまい。ものすごいチープで怖くないのに人は殺されるギャップ。安いテレビドラマかよと思ったんだけど予算100億っていうw

容赦ない殺戮描写、そしてそのあとはあっさりした人形のような死体の山。ここはCGでやらずに適当な人形を並べているのが一発で分かります。プロパガンダだよっていう前提があるからこそのネタだよね。

4点目、メインテーマ最高。妙に耳に優しいと思いましたがエンドロールで私は鼻歌を歌うレベルだったので、よく知ってる曲だw 相当いろんな箇所で使われてるなと。

5点目役者。超絶かわいいデニス・リチャーズがヒロイン。大した役じゃないけどこの安っぽい映画にうってつけだった。
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