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Fukushima 50のmatsuitterのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃ良かったです。
オススメ。
賛否も含めて、必見の良作。

良かったところ。(ネタバレ)

冒頭から前半の1時間は最高。
開始5分でもう号泣。
津波がちゃんと怖い。怖すぎる。
あの恐怖のフラッシュバック。
そっからずっと涙が止まらない。
そのあとベントのトラブルは緊張感でアドレナリンがドバドバです。
被ばくの線量とかもう思い出しただけでも死ぬ思いがする。
下手なアクション映画やホラー映画より全然リアルで怖い。
暗闇で奮闘する現場作業員は本当にヒーローだった。

そして展開は完全にゴジラ。
リアル災害劇。
しかもリアルゴジラ=原発でアドレナリンMAXオブMAX。
現場の熱血と困窮、上層部のグダグダは日本映画お約束だけど今回はリアリティが全然違いました。
私たちが知ってる話と知らなかった話を合わせてしっかり映像化してくれたことに本当に感謝したい。

前半があまりにも面白すぎて年間ベストにしようかと思ったぐらい。
(実際は違うのでその理由は以下に記載)

苦手なところ。

中盤以降は展開が鈍化。
現場は小さめの爆発ぐらいしか進展がなくなる。
上層部との確執と家族美談で引っ張るもコンテンツ不足。
このあたりは日本映画お決まりの展開すぎてもうちょい自然な描写ができないのかよと。。
その余計な話のせいで大爆発の危険の高まりがあるものの前半ほど怖さが伝わってこないし、現場の熱血も声の出しすぎでやや食傷気味。これも日本映画にありがちなワンパターン演出。
最後は湿っぽく終わるのもザ日本映画。
(私はこれがマジで好きじゃない。なんでも美談にすりゃいいってもんじゃないでしょ)

正直、思い切って尺を削った方がコンパクトでエンタメ性を残せたと思います。
尺を持たせたいなら、現場の描写だけにこだわらず、東京など世間の描写や、自衛隊の救助活動、報道と政治の舞台裏みたいなところにフォーカスが向けばよかったのでは。。この災害は現場だけの一枚岩の話じゃなかったはずなんですよね。。
むしろ取ってつけたようなアメリカパートが意外に意味があるように見えました。あのぐらいの短い尺の逸話をいろいろ混ぜていった方がリアリティが出たと思う。

あと、役者はみんな迫真で良かったのだけど、ベテラン勢が多すぎる。ちょっと歳かなと。ホントにあんな50代ばっかりだったんですかね。若手的なポジションに見えた吉岡秀隆が49歳ですからね。。

細かい文句はあるけど、前半の緊張感のある映像編集は素晴らしかったので、間違いなく必見の映画と思います。
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