カツマ

遊星からの物体Xのカツマのレビュー・感想・評価

遊星からの物体X(1982年製作の映画)
3.8
SFスリラーと一言で言っても『エイリアン』の場合は人間vsエイリアンの構図が明らかだが、その構図に更に人間vs人間という疑心暗鬼に満ち満ちた要素を付け加えたSFサバイバルホラーの元祖がこの『遊星からの物体X』。雪原というクローズドサークル、カート・ラッセルの出演、エンリオ・モリコーネの音楽という共通点、そうタランティーノの『ヘイトフル・エイト』はこの映画のオマージュだろう。人間の顔が変形し、グロテスクなクリーチャーが姿を現わす奇形のエイリアンは今尚強烈なインパクトを残すが、元々は1951年の同名作品をホラー映画の名手ジョン・カーペンターがリメイクしたもの。誰がエイリアンなのか分からない恐怖の連鎖に戦慄、こんなエイリアン絶対に出会いたくない。

1982年、そこは冬の南極大陸。アメリカの観測隊員12人は極寒の大陸で調査を続けていた。そこへノルウェーの観測隊のヘリが雪原を走る犬に発砲しながら降り立つ。犬を射殺しようとするノルウェー隊員はアメリカ隊員にも発砲し始めたため、そのノルウェー隊員は射殺されてしまう。ノルウェー調査隊になにがあったのか。隊員のマグレディらはノルウェー基地に調査に入るも、そこで発見したのは奇怪に変形した隊員の死体だった。
一方ノルウェー隊員に殺されそうになっていた犬はアメリカ隊の基地で保護されていたが、その犬には何者かが取り憑いていて・・。

犬の顔面がパックリと避け、中から異形の怪物が姿を現わす衝撃の映像は正に恐怖。ジョン・カーペンターは1982年当時とは思えないほど斬新かつ画期的なエイリアンを創造した。謎が謎として残るラストシーンも秀逸で、果たして誰がエイリアンだったのか、最後までモヤモヤとした余韻がこびり付く作品だ。

この映画から影響を受けた作品は多く、サバイバル描写をSFホラーと組み合わせた手法は後世の巨匠の創造源となったはず。全滅したと思われるノルウェー調査隊を描いた前日譚もあるらしいので、そちらも続いて鑑賞してみたいと思っています。
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