野

式日-SHIKI-JITSU-の野のネタバレレビュー・内容・結末

式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

庵野秀明の実写はシンゴジラしか観たことがなかった状態で観た。
まず第一に、庵野の統合失調症的な孤独や苦しみ故の突飛な悲しいニヒリズムヒッピー的なアナーキーな、そんな心理を女優に委託しているのだろうと感じた。
式日というのは元は小説であり、その執筆者が女優として出ているだけあっていい演技?演技というよりそれが本来の姿なのかもしれない。そんなリアリティのある演技であった。
庵野の孤独苦しみが式日とリンクしたのだろう。そして共同制作を始めた。お互いに作品の意図を深く理解している故に作品の印象は守備一徹して変わることはなかった。
全体的には庵野の辛いよ〜、の心理の吐露。シンゴジラのような洗練は感じられなかった。
この時期、庵野が病んでいたんだろうな、ということはひしと伝わった。そしてこの作品を作ることでその気持ちに少しはケリがついたんだろうか。
映像として、視覚効果としてはあまりよくなかった。アニメの構図などは秀逸であるが、実写となれば、んー、いいんだけど、なんだかなーー。という気持ちになった。あと間で挟まれる心象的な静止画もあまり効果的ではなかったと感じる。効果的ではあったがもっとやりようがあったと思う。エヴァではああいう静止画はとても効果的であったが。
色も全体的に暗いトーンであった。それは別にいいのだが、ただ暗いだけ、汚いというか、くすんだ印象を受けた。
庵野の等身大の映画だと思うので、こういう着飾るような、洗練を目指すようなことを言うのはお門違いかもしれないが、やはりこの心の記録のような映像を映像的にも美しく昇華したのを観てみたかった。
野