まちゃん

ゾディアックのまちゃんのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
3.9
ゾディアック事件は実際の連続殺人事件だ。新聞社に送り付けられる犯人からの手紙、謎めいた暗号、テレビ番組にかかってくる犯人からの電話。次々に展開される劇場型犯罪に社会が翻弄されていく。おぞましい殺人事件でありながらも好奇心を刺激された。観ているだけでもそうなのだから当時、実際に関わった人々はどうだったのだろう。風刺漫画家ロバート・グレイスミス、刑事デイブ・トースキー、新聞記者ポール・エイブリー。主要登場人物は3人だ。1974年に送られた手紙を最後にゾディアックは姿を消すがこの物語はその先90年代まで続く。約20年に渡る長い期間に渡り自らの好奇心によって人生を変えられてしまった人々の姿が描かれている。迷宮入りしていく事件に疲弊していくトースキー、孤独になっていくエイブリー、取り憑かれたように事件にのめり込んでいくグレイスミスとゾディアックに関わる事により不幸になっていく3人。一方で真相に近づく事により感じる深い闇。静けさを感じさせる演出はリアリティと緊張感をもたらして見事だった。2時間半を超える長い作品だが集中力が切れる事は無く画面に引きつけられた。実録映画の傑作だと思った。
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