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ガス人間第1号の留のレビュー・感想・評価

ガス人間第1号(1960年製作の映画)
3.5
八千草薫の代表作であるばかりでなく、このテの特撮怪獣or怪奇映画のベストではないか?脚本にきちんと芯が通っていてブレがない。
般若の面をかぶって踊っていた人が面を外すと信じ難い美しさの八千草薫のアップになるシーン、消去するにしのびなくここだけ永久保存したいぐらいだ。演技らしい演技はしていない。ただただ驚異的に美しい顔を見せてくれる。
図書館に入って行くシーンなど歩くのが速すぎるし歩幅も広い。着物なんだからもっと静かに歩けよと言いたい。本番の舞台化粧も実は化粧が濃すぎるし引眉を描いているが、普段の顔の方がずっと美しい。留置所で座っている凛とした佇まいなど実に素晴らしい。


『麦秋』の原節子、『彼岸花』の山本富士子、『近松物語』の香川京子、高峰秀子、新珠三千代、、、きれいだなと思った女優、好きな女優、たくさんいるけど、この《ガス人間第一号》の八千草薫ほど美しくカメラで撮られた女優って稀有なんじゃない?

見てよかった。他の男優さんや新人女優さんにも文句なし。

二回目

これは日本の《めまい》ですね。

キム・ノヴァク→八千草薫
ジェームス・スチュアート→三橋達也
バーバラ・ベル・ゲデス→佐多契子
三橋達也は冒頭、八千草薫の『この世のものとは思えない』美しさに魅せられて彼女を追い続ける。三橋に惚れている佐多は三橋の気持ちを知りながら三橋につきまとう。ガス人間の存在が《めまい》との違いで八千草薫はガス人間を愛するようになってしまい、最後はライターの火で自爆する。
左卜全の爺やだけでなく罪もない人々が何人も殺される。
ガス人間いわく『みんな他人を犠牲にして生きているんだ』

G『僕は人間じゃないから法律に従う必要はない』
三橋『だったら藤千代を愛する資格もない』
G『それは彼女が決めることだ』

G『図書館員だろうとガス人間だろうと僕は僕じゃないか!』

けっこういいセリフがたくさんある。

ラスト、ホールが爆発してぼろぼろのガス人間のスーツが這い出してくる。顔が青白く光り、ガス人間かと思わせるが公演祝儀の花輪が倒れかかる最後のショットでは八千草薫に変わったのではないかな?
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