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チャタレイ夫人の恋人の留のレビュー・感想・評価

チャタレイ夫人の恋人(2015年製作の映画)
2.5
Jed Mercurio 監督 脚本
Holiday Grainger コンスタンス・チャタレー
Richard Madden オリヴァー・メラーズ
James Norton クリフォード・チャタレー
Jodie Comer ボルトン夫人

『チャタレー夫人の恋人』というより『チャタレー夫人の夫』と呼びたいぐらいクリフォードに焦点が当たっている。
クリフォードは前線では連隊長で部下にメラーズがいて(!)、クリフォードの命令でみんな塹壕を飛び出して行くが、クリフォードは安全な場所に残っている、というのをメラーズに目撃されラストでそのことを面罵される。
コニーとクリフォードの出会い、結婚式まで描かれる。クリフォードはいいヤツのように見える。
ボルトン夫人は若く美しい。夫はチャタレー炭鉱で働いていて事故で亡くなる。メラーズも子供の頃から炭鉱で働いていたんだと。下半身付随になったクリフォードは、歳上でふくよかなボルトン夫人の巨大な胸に顔をうずめ安心を得るのに、こんな若くて美人の使用人じゃダメでしょ。
近代化=石炭、機械化、効率化、生産性重視により、自然や人間性が破壊される。それに抵抗するための最も重要な手段=愛し合うこと。性愛こそが人間性を保っていくための最も大事な砦だというテーマが、このBBCのドラマでは安直な階級闘争と不倫メロドラマになってしまった。
ボルトン夫人もメラーズも炭鉱経営者のクリフォードを批判する。『庶民を見下すな!いつか庶民からしっぺ返しされるぞ!』と。
福岡県民が麻生産業御曹司に向かって言うなら説得力あるけど、20世紀初頭のD.H.ロレンスの世界では説得力ないよ。

ケン・ラッセル版、シルヴィア・クリステル版、フランス女流監督の《レディ・チャタレイ》、どれよりも映像表現はおとなしい。裸の絡みを見せるのが主眼ではないが、英語のセリフはけっこう露骨。
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