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不思議惑星キン・ザ・ザの留のレビュー・感想・評価

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)
3.9
28年ぶり2回目の出会い。
1回目もラストでおじさんとゲデバンが出会い、膝を曲げ腕を広げて「クー!」と挨拶するとこで、不思議な感動があったが今回もちょっとウルっときた。
この最後に最初のシーンがそのまま繰り返されるのがいい。
最初はおじさんにゲデバンが近づき「宇宙人と自称している変な人がいる」と言い、ラストは「アルバート街はどっちですか?」と聞く。おじさんは答えてやるが傍を通った道路清掃車かなんかの、回転する黄色いライトに対して「クー!」と馬鹿な仕草の挨拶をすると、ゲデバンも同じ仕草で挨拶を返していてお互いを思い出す。黄色いステテコはキンザザ星雲プリュク星では権力者の象徴だった。ここが強烈なほろ苦さ、哀しみ、可笑しさを醸し出している。秀逸なラストだ。

今回は階級、職業、人種差別批判を強く感じた。それも御都合主義の差別で状況(星=体制)が変わると差別も変わる。ずっと夜の星に移動したらヒエラルキーが逆転したり。
終盤、支配階級に対して反抗するとこはすごくいい。それまでアンダンティーノだったのがアレグロ・コン・ブリオに激変したかのよう。α星という楽園のような星に行き、そこも結局、差別社会だったというのも皮肉だ。キンザザが砂漠の星だというのはアラル海を干上がらせた反省か?

当時、モスフィルム制作の映画って官僚に何か決められてたの?やたらと「第1部の終わり」って言葉が出てくるが。そんなクレジットがあった方が大衆にとってわかりやすいって思ってたのか?
第2部に入るところで下記のような言葉の説明が入る。
Кю:допустимое в обществе ругательство
キュー:公言可能な罵倒語
Ку:все остальные слова
クー:それ以外のすべての意味

馬鹿馬鹿しくも笑える。

初めて見た時はカンチェリが音楽担当してたなんて意識してなかったが、今回はオープニングクレジットで気づいて音楽にも注意してたが、さすがというか間抜けでちょっと哀しみをたたえた音楽は クー!ル。
留