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バタフライ・エフェクトの東京キネマのレビュー・感想・評価

バタフライ・エフェクト(2004年製作の映画)
4.5
いや~、面白い話だね。カオス理論か、いいところに眼をつけたね。
つまりこれ、初期設定だと未確定要素が多過ぎて、自然科学的には無視できる誤差だけど、力学系としては凄まじい変化が起きて予測不可能な状態になるってことだよね。

(※以下、ネタバレを含みます)









タイムスリップものは沢山あるけれど、それらは例えば過去に戻っても歴史を変えるようなことをしてはいけないとか、或は過去の出来事によって歴史が変わってしまったとか、つまり直線的な結果しか起きないっていう暗黙のルールがある (別にJINの悪口じゃないけどね)。 でもこの映画は実はそんなことはなくて、色んなところに影響が出てきて、あっちが立てばこっちが立たずで、想像する通りのまんまに収まるなんてことはない、ってところがミソ。 この遊び方がとてもいい。

爆弾浴びて人格が崩壊する姿なんか見てられない、だったらオレがなんとかするって男気で判断するんだけど、あれ、そうか、そうなったらオレの手がなくなっちゃうじゃん、なんてのが後で解ったり。 エンディングにしても、愛してる人がこんな人生になるんだったら堪えられない、堪えられないから存在すべてをデリートしちゃえ、えい!、とか。

つまり、初期設定そのものをなくしちゃうというか、それまで一所懸命なんとかしようと積み重ねてきたのに、いきなりのちゃぶ台返しなんて、そりゃないんじゃない?ってのもあったり。 そんなことしたら人生意味なくなっちゃうじゃん、とは思うけど、そういった突っ込み覚悟の上のストーリーなんだね。 これ、設計としてはコメディなんだよね。 で、こういうコメディを切ないストーリーにするってとこがこの製作者のセンスですね。


それと、特典映像に別のエンディングが幾つかあるんだけど、個人的にはこういうのはどうも好きになれない。 まあ、暇つぶしに見て、ああだこうだ言う楽しみがあるのは解るけど、オルタナティブをわざわざ見せる必要はないし、なんか確信もって作ってないな、ってのが見えて覚めてしまうんだよね。

ディレクターズ・カットは違う結末になっていて、そっちの方がいいってのも、なんかねえ。最終的に流通に乗っかったもんが全てですよ。 ディレクターズ・カットって飽くまで雇われたディレクターが雇い主のプロデューサーに約束通りのものは作りましたよ、という証明であって、飽くまで試作品な訳ですよ。 映画という商品を世に送り出すためには、当然色んな人達の事情があるし、ましてやR指定なんて受けたら興行成績が一桁落ちるなんてのも良くある訳だから、そういった工程上の未完成品に対して評論してもあまり意味あることとは思えないんですよね。

まあ、色んなエンディングがあるってのが解っていて敢えて言いますが、オリジナルのエンディングが一番いいと思いますよ。 だって、こういう終わり方にしなかったらコメディのまんまで終わっちゃうじゃん。