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シリアル・ママのろのレビュー・感想・評価

シリアル・ママ(1994年製作の映画)
5.0

「ママがシリアルキラー(連続殺人犯)なの?」
「あら、ママが知ってるシリアルは、食べ物だけよ」

ボルチモアの閑静な住宅街。
上品で優しい妻に温厚な夫、それに二人の子どもたち。
穏やかな朝、皆が出払った家の一室から嗄れ声が聴こえてくる・・・

平和な朝食を乱すハエには、ハエ叩きの一撃を。
駐車スペースに横入りしてくる図々しい女には脅迫状を。
模範的なウチの家庭にケチをつけ、息子を精神科に見せた方がいいなどと言う不届き者には・・・。

ガムを噛むやつは大ッ嫌いなのよねと、思い切り踏み込む殺意のアクセル。
バックミラーでまだ生きていることを確認すると、ハンドルを切り、ためらいなくトドメを刺す。
血だらけの教師の口から、噛んでいたガムがポトリと落ちる。

火かき棒を手にした影が男子トイレの壁を歩いてくる。
娘をコケにした恨みを込めてグサリ、狙った獲物は一度で仕留めるのがママ流。(もちろんちゃんとトイレは流す。)
バードウォッチングが趣味のママは、鶏の丸焼きを食べる老夫婦も許さない。
レンタルビデオ(VHS)を巻き戻して返却しないおばあちゃんのことも、絶対に許さない。
殺人本能が開花してしまったママの勢いは、もう誰にも止められないのだ!

「血の祝祭日」を再生するホラーマニアの息子。
えぐり出された美女の心臓に、ママお手製のミートローフがオーバーラップする。
血しぶきにまみれる「アニー」(トゥモロ~♪)、ジョーンクロフォードが斧を振り上げる「血だらけの惨劇」。
「永遠に美しく」のポップが飾られているレンタルビデオショップでは、ブラウン管の中のレザーフェイスがチェーンソーをぶいぶい言わせている。

法廷の外でシリアルママTシャツが飛ぶように売れていく異様な光景、そして何といっても、「E.T.」のようなヒューマンドラマ感を醸し出す音楽がコワイ!
ろ