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私の中のあなたのkuuのレビュー・感想・評価

私の中のあなた(2009年製作の映画)
3.8
『私の中のあなた』
原題My Sister's Keeper.
製作年2009年。上映時間110分。

アメリカの人気作家ジョディ・ピコーのベストセラー小説を、『きみに読む物語』のニック・カサヴェテス監督が映画化。
白血病の姉のドナーとなるべく遺伝子操作によって生まれた妹が、姉への臓器提供を拒んで両親を提訴する姿を通し、家族のありかたや命の尊厳を問いかける。
主演のキャメロン・ディアスが初の母親役に挑み、両親を訴える次女役を『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリンが熱演。
シリアスなテーマながら、主人公一家の強い家族愛が胸を打つ米国作品。
余談ながら、エル・ファニングとダコタ・ファニングは、当初、アナとケイト・フィッツジェラルドを演じることになってたそうですが、ダコタが役作りのために必要な頭髪を剃ることを拒否し役を辞退したそうです。

白血病の姉(ソフィア・ヴァジリーヴァ)に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によって生まれた11歳のアナ(アビゲイル・ブレスリン)。彼女はこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきたが、母サラ(キャメロン・ディアス)は愛する家族のためなら当然と信じてきた。
そんなある日、アナは姉への腎臓提供を拒否し、両親を相手に訴訟を起こす。

今作品には大きく分けて2つのプロットがある。
1つはケイト(ソフィア・ヴァシリエヴァ)の15年間にわたる白血病治療を描いたもの。
もう1つはケイトの11歳の妹アンナ(アビゲイル・ブレスリン)の医学的解放を描いたもの。
どちらも非常に興味をそそられるプロットやし、それぞれ独立した映画にすることも可能やろけど、同時期に起こったことを考えると、この2つのストーリーが絡み合っているのはとても興味深い。
今作品を救っているのは子供たちであり、主にヴァシリエヴァの演技は巧みやった。
物語は彼女の視点で語られ、観てる側は彼女が見ているものを見るのであって、アンナや母ちゃんのサラ(キャメロン・ディアス)が病院で見ているものはほとんどない。
サラが廊下で医師と話をするときも、サラの話やし、ほとんど何も聞こえない。
また、脚本は、どの家族でも良いと思えるように書かれてるかな。
この場合、フィッツジェラルドが演じてんのは、同じ状況に置かれている中産階級の誰もが経験しうる、その場しのぎの家族。
せやけど、真の救世主は、あまり楽しくない状況の中で希望の光を見出す小さな瞬間である。
それは主に、ケイトの恋敵であるテイラー・アンブローズ(トーマス・デッカー)の手にかかってたかな。
これに似た映画には、必ずと云っていいほど恋敵が登場しよるが、今作品はチョイ違っていた。
『きっと、星のせいじゃやい(The Fault In Our Stars)』みたい脚本家や監督は、病気を抱えた若い恋を美化する傾向がある。
しかし、この映画では、20分ほどの短い時間やったけど、この愛に焦点を当てており、それがこの映画の最も純粋で生々しい部分となってるかな。
同じことが、ケイトが病院のベッドに一人で座り、スクラップブックに目を通している場面でも云える。
これは、良い時代を思い出すために作ったことを思い出させるためであり、たとえ不完全であったとしても、完璧な人生を送っていたことを強調するためやと思う。
今作品は、心の琴線に触れ、他では見られないような哭きを見せてくたが、個人的には、俳優陣の中で、説得力があったんは、アンナ役のブレスリンの演技で、ケイトの状況に合わせ演じてた。
また、ディアスのサラ役は、ディアスはただ疲れていて、叫んだり飛び跳ねたりする意欲がちょい感じられへんかったし、むしろ舞台演出のようだったんは残念かな。
全体的には家族の病気ちゅう微妙なテーマを扱った映画の中では、優れた作品の1つであると云えるし、混乱したストーリーを見事に描き出し、それを全体的に美しく仕上げていました。なぜなら、人生はそのような美しい瞬間の混乱であるからです。
自分の選択や経験について本当に考えさせられました。
kuu

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