フラハティ

早春のフラハティのレビュー・感想・評価

早春(1970年製作の映画)
3.7
僕は今夜死ぬかもしれない。


初スコリモフスキ!
伝説の青春童貞映画が遂にレンタル可能に。
鮮やかに輝き続ける恋という思い出と、あっというまに過ぎ去っていく初恋の苦さ。
ポップで原色のまばゆさが、あの頃の思い出のように光輝いている。
あぁ、わかるよ。わかる。
恋したときのこういう気持ち。
さらに年上ならねぇ。

15歳で就職するっていう少年が、いつしか年上に心惹かれる。
そこから少しずつおかしくなっていく毎日。
頭は彼女のことでいっぱいだし、彼女が話してくれたら最高にハッピー。
なんで彼女は笑ってくれない?
なんで彼女はダサい男と一緒なんだ?
どうすれば彼女を抱きしめられるだろう。

相手の気持ちを考えるよりも、どうしても自分の気持ちを伝えたい。
だからか本作のヒロインであるスーの心情や過去は結構隠れている。
しかし彼と彼女は明らかに熱量が違うわけで、スーにはマイクのことなどお構い無しなんだと思う。
マイクの猪突猛進ぶりはやばい。
冷静に見なくてもこれは常識はずれ。
ホットドッグのくだりは好きだけど、まあ普通に考えて食べ過ぎだよね。笑
マイクの童貞感は大事やなあ。

スーもなかなかの女。
男心を弄ぶようだし、彼女の本心ってふわふわしててわからない。
だからこそ惹かれるところがあるのもわかるし、彼女の気を引きたいというのもわかる。
本作で彼女についての深掘りがないのは寂しいが、マイクの青春に絞ってみればこういう描写になるのは仕方ない。
彼女との関係は今だけかもしれない。
でも、彼女のおかげで彼は成長していくんだろう。

働いて管理職になるより、彼女のために生きたい。
この衝動が今は一番大事なんだ。
純粋さはいつしか苦しみに変わっていき、苦しみはいつしか恐怖に変わっていく。
彼女がいなければ僕はどうにかなってしまう。
プールの底に深く沈んでいくように、僕の気持ちも沈んでいく。
底がなくなり、溺れていく。
彼女の笑顔は僕を沈めていく。


青春や初恋はあっというまに終わってしまう。
一瞬、でもそれは永遠。
恋は盲目とは言うけれど、さすがに突っ走りすぎてイタい。
男には誰しもこんな思い出があったりなかったり。
そんな思い出を価値のあるものとして、大人への一歩として、青春は美しく素晴らしい。

僕は今夜死ぬかもしれない。
もし今夜死ぬとしたら、きっとあの人に気持ちを伝えるだろう。
恋って病だよなぁ。
フラハティ

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