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ムカデ人間の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

ムカデ人間(2009年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

奇天烈で汚い設定から絶大なカルト人気を持つシリーズの1作目
設定が設定なので鑑賞に耐えられるか不安でなかなか観られずにいたがホラーやスラッシャーを最近浴びる様に観ていたら大丈夫そうに思えてきたのでやっとの鑑賞

シャム双生児の分離で名を馳せた元医師、ハイター博士によって拉致された3人の旅行者の男女がそれぞれの口と肛門を接合したムカデ人間にされるというマッドサイエンティストの人体改造をテーマとした作品
端的に言うと予想よりも不快な描写が少なくて拍子抜けしてしまった
まず手術が実行されるまでの被害者達とハイター博士の攻防のシーンがかなり長い
冷淡な狂気の描写としては悪くないが術後の描写をもっと観たかった
そして手術のシーンも同様に短いし控えめで皮膚を切り取る描写はしっかりと行われいたが一番グロさを出しやすい縫合が描かれていなかったのが残念だった

そこまでは狂った設定に免じて良しとしても問題は術後
本作の一番肝心なパートだ
ムカデ人間とされた人間は2人目から排泄物を飲み込む事を余儀なくされる訳だがそこのシーンが圧倒的に汚さもグロさも足りなかった
接合部が包帯で保護されているから口と肛門の繋がった様は見えないし縫合の隙間から便が漏れ出す、とか便によって接合部がパンクして血と便が飛び散る、とかいくらでも気持ち悪く汚く出来たはず
最もそれに近いのは3人が脱出を試みて軟禁されていた地下室から階段を登る中で接合部が切れていき出血する場面だがそれも包帯越しなのでグロい、汚い、とまでは行かない
脱出まであと一歩の所で先頭である日本人のヤクザが神へ語り掛ける様に喋った後にガラス片で首を切って自殺したのもシンプルに「何で???」となった
ハイター宅に踏み込んだ警部の1人がムカデ人間となった3人を発見したのに放置したのも襲われたと思しき仲間を助ける為とはいえやはり「何で???」としか思えない
まぁそれがあってこそ先頭のヤクザ男性も自殺し、“しっぽ”であるジェニーも衰弱死した事で前後両方の接合された“真ん中”のリンジーが接合されたまま生き残る無惨なエンディングに繋がったので必要な展開だったのかもしれないが…

ツッコミ所は他にもあった
それもやはり作品の本質であるムカデ人間の事だ
・接合される際に咀嚼も出来ないのに歯が一部しか抜かれなかった
・開ける口が無くなっているのに言葉にこそなっていないものの2人目以降が普通にこもらず発声出来ていた
という2点だ
こういうトンデモ作品にそんな現実的なツッコミは野暮なのかもしれないがトンデモだからこそ狂気表現として細かい部分は突き詰めて欲しかった

良かった部分としてはムカデ人間にされた3人をハイター博士が犬の様に躾けようとする場面の気持ち悪さとトラブルがあっても焦らず自分のペースで行動する狂人として完成されたハイター博士の振る舞いの狂気性などだろうか

人数が増えたり手術の知識が足りない人間が施術する、という変化がある事は知っているのでそこに期待してシリーズは完走するつもりなので続編でこそ前述の様な酷い描写がもっとされていると信じたい

ずっとコテコテの関西弁で罵り続けてる関西ヤクザは面白かった
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