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ダーティ・ダンシングのぼのごのレビュー・感想・評価

ダーティ・ダンシング(1987年製作の映画)
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ミュージカルじゃないんだけど陽気な歌と踊りが盛り沢山で多幸感があった。特にラストのダンスシーンには感動して目が潤んだ。知らなかったけどかなり有名なシーンらしい。

夏休みに避暑地に来た主人公一家。良い家族。父親も立派な人なんだろうけど、労働者階級に対する差別意識が心の奥底にあって不気味だった。人類皆平等みたいなことを謳っておきながら無意識に差別しちゃう人、実際けっこう居るんだろうな。避暑地のホテルで何者かによる盗みが発覚した際、当たり前のようにダンサーが犯人だと疑っておきながら、他に怪しい人が居るという娘の指摘には「無闇に人を悪く言ってはいけない」(うろ覚え)というような矛盾したことを本気で言っているのにはゾッとした。

ホテル支配人の息子やウェイターの医大生も完全にボンボンで嫌な感じ。特にウェイターは、殆ど人を死に追いやっているようなもので救いようがない。あんなのが人の命を救う医者になるとか恐ろし過ぎる。
主人公は本当に垣根の無い良い子。でもダンサーの一人に生い立ちを聞いて、「16歳で家を追い出されてダンスをやるしかなかった」という答えに対して「いいな」と何も考えずにニコニコ返事する辺り温室育ち極まっていた。

恐らくそれまで何不自由無かった主人公は、今回のダンスリーダーとの恋によって初めて社会の理不尽に触れたんだと思う。その経験を経て良い方向へと成長していく様が純粋に嬉しかった。
夏のロマンスという前振りで退廃的だったりチャラいの連想して、だとしたらあまり得意じゃないから身構えていたんだけど、全然純愛で良かった。ポスターのふたりがお互いを想いながら、一生懸命に行動していて愛おしかった。
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