ぼのご

くれなずめのぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

くれなずめ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『くれなずめ』ってタイトルいいな。日が暮れそうでなかなか暮れない、そんな状態が続くのって素敵だと思う。くれなずんで生きるの、いいですね。

主人公たちは30手前で少しずつオジサン化しているけど、仲間が集まれば青春の雰囲気もまだまだあって楽しそう。内輪ネタの悪ノリは、はたから見たら気恥ずかしいものがあるけど、固い信頼で結ばれている様子は熱いものがあった。

序盤で仄めかされるけど、吉尾は数年前に死んでいるっぽい。友人たちそれぞれが持つ吉尾との思い出、その想いが丁寧に描かれていて、死んでいるのに鮮やかなまでに生が浮かび上がっていく。彼と親しかった人たちの中では、きっといつまでも生き続けるんだろうな。

新幹線に乗り遅れ、明石に電話するも着信に気付かれず、夜行バスで帰った吉尾。てっきりそのバスの交通事故で亡くなったのかと勘違いしてしまうような流れだったけど、そんなこともなく、亡くなったのはその半年後だったらしい。それでも明石は電話に出れなかったことをずっと後悔していて、友人に対しての誠実さが泣けた。

吉尾を役者に誘いに行った際の欽一の思い出。欽一が岡本太郎の言葉を引き合いに「困難な道を選べ」みたいなこと言って吉尾を説得しようとするけど、吉尾が「俺にとっては役者やるより会社員やる方が困難なんだよ」って言っていて、なんかわかるなって思った。そういえば僕も岡本太郎さん好きでエッセイ読んだ時、同じ言葉が出たところで吉尾と似たようなことをふと思ったの思い出した笑

それから「お前が役者やってるから俺は会社員していられるんだよ」って怒るのは、なんか勝手だし理不尽な気するけど、言い換えれば「お前がいるから困難な道でも進めるんだよ」ってことなのかなって考えると、やっぱり良い関係でもあるのかなぁ。あいつが居るから頑張れるって友達が5人も居るって、素晴らし過ぎる。

皆気の良い人たちだったけど、欽一の「ヘラヘラしろよ」「引きずることから逃げんじゃねーよ」とか、弱さも受け入れてるような台詞特に好きだったな。
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