ぼのご

ダンサー イン Parisのぼのごのネタバレレビュー・内容・結末

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

踊りを見るのは好きだし、挫折と新しい人生というテーマに惹かれて応募した試写会。
冒頭数十分間の動揺と緊張感、ダンスの美しさが素晴らしかった〜!
舞台で怪我をして、1〜2年はダンスが出来ないと医者に言われて失意のどん底に落ちるエリーゼ。でも周りには恵まれていて、色々な人が寄り添ってくれるからホッとした。中でも、一緒に行ったウェディングモデルのバイトでの撮影中、新婦役に跪かせるポーズを要求してきたカメラマンに抗議した友人のサブリナが特にかっこよかったなぁ。
その一件で更にサブリナと仲良くなって、シェフをしているサブリナの彼氏のアシスタントとしてブルターニュまでついて行ったのが大正解。良い出会いの連鎖が起きて、素敵な第2の人生の始まりだった。人とのつながりってやっぱり大事なんだなーって思った。

とにかく登場人物皆が善良でお話も明るくて、ダンスシーンも自然の風景もとっても綺麗。
でも清々しくて良い作品だと思うのに、その一方で個人的にはなんかモヤモヤする部分もあって、観終わってから数時間経った後に気付いた。多分誰も彼もが裕福で前向きで、自分には眩し過ぎて、居心地が悪かったんだと思う。思い返してみれば共感できる人や感情が殆どなかった。

皆本当にいい人なんだけど、例えば「親とは仲良くしなさい」みたいなジョジアーヌの台詞とか、なんか息苦しかった。その手前の場面でジョジアーヌはエリーゼに、「順調だった今までが運が良かった」というようなことを言っていて、それはその通りだなって思ったんだけど、それから「サブリナの彼氏の親は酷くて、彼は料理に出会うまで悲惨な青春を過ごした」みたいな話もしていたのに、その流れで親とは仲良くした方がいいみたいな言葉が出てくるのがけっこう引っかかってしまった。まあエリーゼの親は良い人に違いないっていう確信があったのかもしれないけど。
実際、エリーゼのお父さんは不器用だけど良い人だったし。
「お父さんは冷たい。私に愛してるって言ってくれない」みたいなことをエリーゼは言うけど、バレエをやる支援を長年していて、仕事が忙しいのに娘のために長い距離送り迎えもしてあげて、娘が大人になってからも仕事の合間にランチに誘ってくるお父さんのどこが冷たいんだって思った。
当たり前のように愛されて恵まれた環境にいると、それに気付かなかったり感謝を忘れてしまうのかもしれない。でもそうやって育った方が、また当たり前のように人のこと愛せて、まともでいられるのかな…負の連鎖の逆というか…。
うーん、明るい映画だったのに書いててなんか暗い感じの感想になってしまった…。
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