ぼのご

別れる決心のぼのごのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
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お互いに違う世界の中で生きてきたヘジュンとソレ。ふたりとも生きづらさを抱えていたにしろ自分の世界と噛み合って過ごしていたのに、境遇も価値観も全く異なる存在を好きになって、これまでの自分が崩壊していく。それは絶対に幸せになることのない絶望的な出会いだけど、とても魅力的で刺激的で、深みのある関係だった。

日常に非日常的が入り込んだ物語と撮り方の影響なのか、夢みたいに不思議な雰囲気で、恋愛の幻想が加速していたと思う。自分や相手への戸惑いと、元々口数の少ない性格ゆえかふたりの間で言葉が多いとは言えず、想いが自分の中で補完されていく。その中には勘違いも沢山あったんだと思う。相手に抱いた幻想も含めて大切な感情であると同時にどうしようもなくて、取り返しのつかなさがクセになる。「愛している」という言葉が出てきていないにも関わらず、ヘジュンから「愛している」と言われたとソレが認識している辺りとか、堪らなかった。

エリート警察官で男性で強者としての立場のへジュンが弱々しい印象を受けるくらい優しかったり、外国人で女性でDVを受けていた弱者の立場のソレがとても強かな人だったり、その他にも登場人物の対比がそこかしこに見られて印象的。たぶん一度観ただけでは気付けない部分が多いから、また機会があったら観てみたいな。

映画とは関係ないけどFilmarksの試写会、たまに応募してたけど当たったの3年ぶり!しかも好きな作家の桜庭一樹さんがトークショーに来てて嬉しかった〜!
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