horahuki

残酷の人獣のhorahukiのレビュー・感想・評価

残酷の人獣(1959年製作の映画)
3.1
アレは人間だ!!

動物の中身を色々入れ替えて、自分で人間作っちゃおう!っていうDIYの最終進化系。毎日が日曜日な金持ち夫がDIVに没頭しすぎてるせいで、せっかく金持ちと結婚してウハウハだった奥様がどんどん機嫌悪く…。そこにイケメン(?)が乱入してきて三角関係。更にはデブな友達まで加わってくるという四角関係。それでも夫は気にせずDIY。こいつブレない!!🤣

HGウェルズ『モロー博士の島』(未読)の映画化。同じ原作のアールCケントン『獣人島』から約20年経っているのに進化どころかスケールダウンさせてくるあたりがたまんないっすね。一応『フランケンシュタイン』の系譜です。

偶然流れ着いた部外者である主人公に目線を合わせて観客も未開の島で行われている禁忌を探検することになる。出迎えてくれた博士の屋敷で暮らす数名以外には住民はいないはずであるのに、最近まで誰かが住んでいたような生活感のある集落が存在感を放ち、その近くには四つの墓が鎮座する。それらの散りばめられた謎が屋敷の地下室で秘密裏に行われているDIYへと収束する。

本作のメインとなる人物は4人。マッドなドクターと奥さん、性格悪い助手、そして主人公。禁忌を犯すか否かで二陣営に別れるのが通常だと思うけれど、本作の場合には誰もが違うベクトルを向き足並みを揃えた行動というものが存在しない。まさにカオス。特に主人公がカメレオン的で、コロコロと行ったり来たりひとところに定まらないのが新鮮。道化的な助手はエゴの塊りのように思えるのに反し、時に最も真っ当な発言をしたりとこちらも捉え所がない。そして我関せずな奥さんと、愚直でマッドなDIY野郎。DIY野郎がある意味一番わかりやすいという😂

そんな感じで流石に破茶滅茶なんだけど、好意的に捉えるなら、神の領域へと足を踏み入れるような禁忌を前にした人間がどう行動するのか。その反応を各々の態度が象徴し、弱さなり矮小さなりを浮き彫りにする意図だと言えないことはない…かも😅

オリジナルの『獣人島』では、失敗作が島にウヨウヨしていたけれど、本作では被験体は一体だけ。2年かけて一体の動物を少しずつ人間に変化させてきたようで、実験は最終段階に入っている様子。それ故に『獣人島』のようなスケール感はなくなっているのだけど、その代わりパーツの組み替えと薬の投与によるハード面での改造によって、魂と呼べるような人間の証を手にすることができるのかという純粋なテーマ一本に観客の興味を集中させている。それが面白いかどうかは別だけど😂

完成する獣人さんのクオリティは相当低いんだけど、『獣人島』と同じく低クオリティが半人半獣感出してた良い感じ。モノクロだからこそ、顔に陰影を濃く落とした映像が不気味さと直視してはいけないような禁忌感も醸し出してる。ポンコツSFホラーだけど、結構面白かった!
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