Melko

オリバー!のMelkoのネタバレレビュー・内容・結末

オリバー!(1968年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「(盗んだ財布は)上等か?」
「腕は確かだよ」

んー。。
長かった…………し、面白く感じなかった。
この作品に期待したストーリーと全然違ったからかなー。

てっきり、孤児のオリバーが拾われたスリの集団内で仕事しながら逞しく成長するど根性物語なのかと思いきや、オリバーは結局一度もスリはおろか仕事にも成功しないし、実は金持ちの孫でした!って小公女的なオチになってしまうとは。
だからなのか、この主人公オリバーがなんかずっとフワフワしてて夢見心地な感じで、「僕、主人公です!」ていう自己主張がないのが致命的。お前はどうやってあの孤児院を生き抜いたんだい。余程子供達が仲良い孤児院だったのかしら。
確かに演じたマーク・レスターの瞳は澄んでて、何にも染まってないピュアな魅力はあるのかもしれないけど、逆に言うと没個性になってしまって印象に残らない。
見進めても全然活躍しないオリバー、1時間半過ぎたところで遂には、作業しながら見をすることに…

あと個人的に嫌な感じがしたのが、この物語がめちゃくちゃ「他力本願」なところ。
時代的に、貧しい者の一発逆転ミラクルが起きることなんてまずなかったり、貧しい者はとことん貧しい境遇は分かるのだけど、それにしたって、
オリバーの周りにいるのがフェイギンのように汚い仕事は他人にさせて自分は何もしない奴だったり、
出てくる歌が「誰かが奢ってくれる」とか「誰かコレを買ってください」とか「誰かがきっと私を幸せにしてくれる」とか…
それを高らかに笑顔で歌われると、なんだか冷めてしまって…
とんでもない数のエキストラや、撮るの大変だっただろうなーって感じるカメラワークはすごいなと思うし、表現としての映画の完成度は高いのかもしれないので、これは単純に元の話と自分の相性が合わないケース。
あと1曲ごとが長かったかな…

印象の残らなかったオリバーに代わり、強烈な印象残したのが、ドジャー役のジャック・ワイルド。どこかで…と思ったら、「小さな恋のメロディ」のオーンショーじゃないか!あの映画コンビだったのか。
当時9-10歳だったマーク・レスターと同い年に見えた、6歳年上のジャック・ワイルド…!もう亡くなってたなんて…顔が幼く身体が小柄だったことで大人になってからの俳優人生が過酷なものになったのか…大人顔負け、こんなに演技上手かったのになぁ……特にラスト3分、合流したフェイギンとの「また…スリ家業、やりますか…!」のニヤァなやり取りがなかなか良かった。
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