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ファニーとアレクサンデルのRのレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
4.8
5時間半の大作っちゅーわけで、相当身構えて見たけど、他のベルイマン作品に比べて、ずっと優しく、見やすい。ストーリーはゆったり進むが、全く苦にならない。とにかくニクヴィストさんの映像が美しい。目からこぼれおちそうなくらい贅沢な映像が次次と。プラスすばらしいサウンドトラック。あらゆる音が、たまらん塩梅で配置されてて、奇跡的。まさに映画マジック! ストーリーも、映像も、音響も、監督の幼少期の記憶がベースになってるらしい。なるほど、自分も幼少期の思い出は魔法のような、映画のような、ドリーミーな感じで回想されるが、まさに、そういうノスタルジアでいっぱい。第1部『エグダール家のクリスマス』のハッピーなクリスマス一夜のお祭り騒ぎから始まり、第2部『亡霊』ではアレクサンデルの父が死亡するまでが、一貫してやわらかく暖かい色調。第3部『崩壊』から一転して寒々しい色彩に変わり、キリスト教の欺瞞性をえぐりだす懐疑的な視点が加わり始める。ヴェルゲルス主教と母の再婚後の生活が、ただならぬ不吉な様相を帯びながら進行。そして、第4部『夏の出来事』でヘヴィさが一気に爆発。不幸から逃げ出そうとする母子を法のもとに縛り付ける主教。キリスト教を盾に、アレクサンデルを虐待、監禁、じわじわとその恐ろしい人物像が明らかにされていく。めくるめく映画魔術に満ち満ちた5部構成で、宗教的戒律に拘束された生活よりも、人間らしいゆたかな生活を謳歌することが、なによりも大切であることが強調されるエンディング! すべての要素が、すさまじい恍惚感を味わわせてくれる上、俳優たちの演技が驚嘆の洗練。もーすごすぎて半笑いで見入ってしまいました笑
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