磔刑

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラの磔刑のレビュー・感想・評価

2.4
「絶滅危惧種」

現代ならVFXで表現するような映像演出の数々もミニチュアやセット、着ぐるみで表現されており、現代の過剰にリアルであるもののどこか平面的で温かみを感じないCGには無い泥臭い息遣いのリアリティを感じる事ができる。リアルとアンリアルの垣根が曖昧になっている現代だからこそ存在価値が高まる作品と言える。

サンダとガイラの対決が物語の見所ではあるもののホラー映画さながらの優れた演出も見所だ。闇夜から突然と現れ全力疾走し襲いかかり人間を捕食するガイラは余りにも突飛で馬鹿馬鹿しくも感覚を刺激される恐怖を感じる。サンダやガイラを取り巻く壮大なスケールのセットは圧巻でCGには無い独特のリアリティを与えており、西洋で発達したストップモーションとは対照的な日本独自の着ぐるみ文化が生んだ技術の粋を体感できる。
ただストーリーはかなり大雑把でサンダやガイラの出生や目的が分からない上に生みの親らしき科学者の物語上の目的すら定かではなくドラマ性の欠片すらない。その為サンダとガイラの悲惨な結末を観ても全く心を動かされないのは残念な限りだ。
磔刑

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