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セント・オブ・ウーマン/夢の香りのabeeのレビュー・感想・評価

4.6
【意味ないなぁ生きてたって
ありえないなぁ自分勝手
死にたいなぁなんて時々
嘘ばっかついてるんだ、ねぇ。】

めっちゃええーー‼︎‼︎

アル・パチーノのオスカー受賞作品‼︎

実は今回この作品鑑賞するつもりは全く無かったのですが、TSUTAYAって基本5枚以上借りたらおトクで4枚は観たいのが決まっていたのですが、1枚どれを借りようか迷ってしまい。
すると何やら「ホタルの光」が流れ始め、私に早く帰れと言ってくるわけです。
どうしよ〜〜っ‼︎と思ったところ目の前にこの作品が。
「いや、アル・パチーノやけど、大好きやけど、こんな甘ったるそうな映画今の気分じゃないよ」と思いつつ、「ホタルの光」が急かすのでしゃーなし借りることに。

借りて良かったーー‼︎

この作品は完全にタイトルで損してませんか?
甘ったるい感じしませんか?
これ完全にラブストーリーだと思ってた。
凄い深い人間ドラマだった。
タイトルだけではなく、ジャケットもちゃんと見なくてはいけない。
私と同じ勘違いしてる人、観た方が良いよ‼︎

盲目の退役軍人と高校生の異世代間交流を通してカッコいい男の生き方を見せたかと思いきや、その根底にあるのは人間が「夢」を見る術を失ったときに陥る絶望。

アル・パチーノって何やってもアル・パチーノ。
この作品も例に漏れずアル・パチーノ。
でもこれってなんでなのかってことに最近気づいたんですよ。

そもそも脚本の時点でアル・パチーノを意識して作ってるんだと思うんです。この作品に限らず。
脚本を作りながら、だんだんアル・パチーノになっていくのかもしれませんが、こんなキャラ、アル・パチーノ以外誰にできましょう?だって最初から最後までアル・パチーノだよ‼︎

この物語は美しさの際立つ作品。
キャラはアル・パチーノでない方が美しく映るだろうと思います。

それでもこの作品の主人公・フランクがアル・パチーノなのは、このキャラクターはとことん男臭い人間でなくてはならないから。

軍で武勲を挙げ、いくつもの勲章を手に入れ、将校と同等までの地位を手に入れた男。
ハンサムで女性の扱いも上手い。
そんな男がある日、本当にしょうもない自分のミスで視力を失います。

プライドの高い人間に限って、フランクのように闇を抱えてしまうのでしょうね。
それがとても伝わる配役だったと思います。

配役だけが良かったわけではありません。
やっぱり流石アル・パチーノです。
終盤のあの軍服を着てからのシーンの緊迫感は息が詰まりそうでした。

どのシーンを切り取っても名場面なんですよ。
ラウンジで初めて会った女性とタンゴを踊るシーン、2人でフェラーリに乗るシーンも最高だったし、ラストの諮問会での大演説まで何から何までハイライト。

もう絶対にディスク買う。

ということで、なかなか暗いテーマが隠されていますが最初から最後まで温かい気持ちで鑑賞できる万人にオススメな名作でした。
しかも終わり方も凄く素敵だったからね。
この先、2人の人生と生活が交わって進んでいくのかと考えただけで幸せな気持ちになります。
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