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カリフォルニア・ドリーミングのMOCOのレビュー・感想・評価

2.5
「押し入れで表彰状を見つけたの、フィンランド語だけど1952年のヘルシンキオリンピックという文字は分かるわ。

『200メートル背泳ぎ』パパは4位だった。大統領のサインもあるわ。

 ヘルシンキは1952年だから
1956年のメダリストというのはウソね。

 若く見られたくてなんて、信じられる?
 バカでしよ、年齢なんか気にして・・・」


 海の話ばかりしていた死んだトランペット吹きの兄のレコードをカリフォルニアの海でかけるため夜行バスでシカゴからやって来た海の似合わない軟弱で真っ白な男の子TT(デニス・クリストファー)がひと夏に経験する恋と成長を主軸に、周りの大人達の悲しい恋を描いた青春映画です。


 TTは初対面のデューク(シーモア・カッセル)に気にいられ、娘のコーキー(グリニス・オコンナー)には手を出すなと念押しされ家に転がり込みます。デュークには離婚した妻フェイがいて、娘のコーキーは夏の間デュークの家で生活していました。デュークはTTを息子のように迎え入れビーチでの恋やスポーツを教えます。が、コーキーはTTを大嫌いです。

 TTは誰にでもためらいなく話しかけ、最初は気持ち悪く思われますが、ひとを和ませ皆に好かれていきます。

 TTは最初からコーキーが好きで、コーキーもやがてTTを意識しはじめベッドをともにします。
 
 給油所で働くアール(ネッド・ウィーン)の尻軽女への報われない恋。
 別れてしまったフェイ(ドロシー・トリスタン)に再度プロポーズして再婚にこぎ着けフェイの望むハワイ移住を決めるデュークの愛。
 お金持ちの娘ステファニー(タニア・ロバーツ)の女ったらしスーパー・サーファーリックへの絶望的な一途な愛。
 マーシャと結婚して復学し実業家を目指す未来を築くためのテナーの愛・・・様々な愛の形を描きながら夏も終わりに近づきます。

 再婚のプロポーズにOKをもらい2人で夜を過ごしたデュークは朝、ベッドで眠るTTとコーキーの2人に微笑ましく声をかけるのですが、はずかしさからコーキーは部屋を飛び出し、ダメサーファーファーリックからデュークの悪口を聞かされていたTTは「1956年のヘルシンキオリンピックの背泳ぎ4位と自慢していたの話も、有名なサーファー・フリースにサーフィンを教えた話も作り話に決まっている。
 皆がデュークは嘘つきだと言っている」と、なじってしまいます。

 その日の午後、ビーチ・バレーをしていたデュークは心臓発作で倒れ息をひき取ってしまいます。

 葬儀を終え遣品を整理したコーキーは1952年のオリンピックの賞状を見つけ傷心のTTに伝えます。「押し入れで見つけたの・・・」

 アールは尻軽女と決別しプライドの高い人生を選択し。
 ステファニーは妹にまでちょっかいを出すファリーを棄てて一人ハワイへ旅立ち。
 デュークを亡くしたフェイも約束したハワイに旅立ちます。
 TTとコーキーは肩を寄せ合い冷たい雨のカリフォルニアに残ります。


 1978年製作「ビッグ・ウェンズデー」の翌年、ママス&パパスが1965年に発表して1966年に大ヒットした名曲「カリフォルニア・ドリーミング」をモチーフに製作されたのが映画「カリフォルニア・ドリーミング」です。
 映画で「カリフォルニア・ドリーミング」をママス&パパスの様にカバーしているのは3人のグループ『アメリカ』です。

「ビッグ・ウェンズデー」に比べるとサーフィンシーンは少なく他愛のない青春映画なのですが、モチーフの「カリフォルニア・ドリーミング」がいい味を出している70年代のちょっとせつない映画です。
(正直言えば感動は薄い・・・)
 日本のサーファー人口が少なかった頃の映画です。

 
『夢のカリフォルニア』

枯れ葉の季節
灰色の空 散歩に出た
冬空の下 ロスに行きたい
暖かい待ちへ
カリフォルニアを夢見る
こんな凍える日は

教会に行った
ほんの気まぐれさ
僕はひざまずき 祈り始めた
牧師は寒い日が好き
僕が長居するから
カリフォルニアを夢見る
こんな凍える日は

枯れ葉の季節
灰色の空 散歩に出た
冬空の下 彼女に旅立ちを告げ
そして後悔した
カリフォルニアを夢見る
こんな凍える日は
MOCO

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