山下達郎さんの『いつか晴れた日に』という歌が好きで、(コロナ前は)カラオケでも唄ったりしていたので、この映画も気になってたんですが、ようやく観ることが出来ました。
ただ、原題はちょっと違いました。
”Sense and Sensibility”…ジェーン・オースティンの原作で、日本では『分別と多感』という題名で出版されています。
ちょっとわかりづらいので辞書を引いてみると、Senseは”感覚”でまあわかり易いんですけど、Sensibilityの方は”繊細な感受性”という訳語の方が本作にふさわしい気がしました。
まさに登場人物たちの、繊細な感情の揺れ、揺らぎみたいなものを味わう作品。
まるで、水面を優雅に泳ぐ白鳥を思わせます。
ああいう水鳥って、水面上は穏やかに泳いでいるように見えるけど、水面下では必死に水かきを動かしてるじゃないですか。
それと同じで、この映画でも、
Ⓐ (水面上)=目に見える部分…礼儀、作法、表情、仕草、家柄、
といった外面の裏で、
Ⓑ (水面下)=目に見えづらい部分…愛情、嫉妬、打算、経済状況、
などがうごめいています。
そんなⒶ×Ⓑの対立による、感情の揺れ、物語の展開を感じとれるかが、この作品の評価のポイントになります。
エマ・トンプソン、ヒュー・グラント、ケイト・ウィンスレット、アラン・リックマン…といった実力派俳優が、そんな感情のすれ違いを、繊細に表現してくれています。
特にトンプソンは、自ら脚本を書き、アカデミー脚色賞にまで輝いているのですからお見事です。
監督のアン・リーも、アジア系でありながら、英国人気質を存分に表現しきっている感受性豊かな演出ぶりでした。