タキ

いつか晴れた日にのタキのレビュー・感想・評価

いつか晴れた日に(1995年製作の映画)
3.9
原作がジェーンオースティンなのでこれといった大事件は起こらず貴族の子女たちの恋愛模様を延々と描いてゆく。三姉妹の飾らない愛らしさや田舎のイギリス風景、建物、衣装が素晴らしく、17世紀の風俗も興味深い。
この時代、相続は男性のみ。かといって生活のために働くことも許されない。良家の子女の考えることといったら誰と結婚するかということぐらいなのもしょうがない。でもこの話には現代にも通じる普遍性があって誰と誰が結婚しただの誰が死んで誰が資産を相続しただのという話はいまでも田舎の娯楽のひとつなのだ。
ミドルトン卿やジェニングス夫人がエレノアに思い人がいるのではないかとちゃかすシーンや娘によい結婚相手だと思って浮かれてたのに相手が不実な男だったと知るやソッコーこき下ろすダッシュウッド夫人とかリアルすぎて身の毛がよだつ(笑)
誰でもが経験する身の回りの出来事を原作同様細やかに描き大事件は起こらないものの飽きさせない面白さがある。こういう噂話のタネってどんな時代になろうとも人間は面白いと思うもんなんだろうな。
控えめで分別のある長女エレノアと情熱的で多感な次女マリアンヌの恋は紆余曲折しながらも成就して終わるのだが、若くハンサムな男だけどあんなイジワルおばばが義理の姉でマウント女が義理の妹になるなんて貴族社会は狭いようだしエレノアは大丈夫なのか。人生スイも甘いも嚼み分けて父母もいないらしいブランドン大佐が1番の買いでマリアンヌは勝ち組じゃないかと田舎のお節介おばさんなどは思うのであった。
タキ

タキ