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祇園囃子のkoyamaxのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
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祇園の世界。
伝統芸能、舞妓、芸妓の真実。

取り沙汰される事案が今と全然変わってない^^;
昔がヤバい、今がヤバいというよりも、
こうしたものはずっとあって、今はようやく声を公にすることができる土壌ができたということで、本質なんてそんなに変わるものじゃないのでしょう。

身寄りのない少女栄子(あやや)は芸妓美代春(小暮実千代)に舞妓志願するのですが。。

前半までは先輩芸妓に指南されながら、
芸妓になるための修行とそれを取り巻く環境を描く展開。
あやや、挫けず頑張れ!
と、慣れない環境の中でも必死さと明るさで徐々に芸妓らしくなっていく過程を、
応援したくなる、ある種の青春譚的な感じの展開、

なのですが、

後半から話が生々しくなります。


栄子、美代春二人して、若旦那の東京出張に付き合わされていくのですが、、

そこで待っているのは、

性接待強要。。


それに対しての彼女らのリアクションが大きな波乱を呼び、、、。

東京での出来事がターニングポイントではあるのですが、
そこに至るまでの、同行せざるを得ない流れ、お茶屋の女将の立ち振る舞いなど。過程もまた鮮やかで、鮮やかすぎて、
見えない闇の深さを感じましたね。
客もそうなんですが、システム化されている世界そのものがですね。


栄子そして支える美代春がパワハラ、セクハラの煽りを受けても健気であろうとする姿に切なさが募ります。

正直言って何も解決はなされないのですが、絶望的な世界の真実の中、
怒り、悲しみ、苦しみを超えて
ここで二人で生きていく女の覚悟。
悲壮感を感じさせないその表情、立ち振る舞い。
ここに美しさを超えた逞しさがありました。

繋がりはないと思いますが
その後に鑑賞した同じ溝口作品「赤線地帯」ではしたたかに男を手玉に取り、金を巻き上げて逞しく生きるあややの姿が無念の思いを抱いて転生した栄子を思わせて余計泣けましたね。。。
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