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男はつらいよ 寅次郎紅の花のKKMXのレビュー・感想・評価

4.2
 渥美清存命中のラスト作。正月の新作に向けて鑑賞しました。

 42作目から事実上の主人公が甥っ子の満男になってかなりパワーダウンした印象を受けます。やはり、寅ちゃんみたいな超個性派の異界人の代わりとして、普通の若者・満男ではその穴を埋めるのは難しい。満男は寅と違って成長しちゃいますし。
 とはいえ、本作は満男物語の中でもベスト作かと感じてます(虫食い鑑賞だから満男編すべてを観てないけど)。

*追記:中年期の満男と泉を描いた50作目が個人的ベスト作となりました。

 理由は渥美清が奇跡の出演を果たしているのと、リリーが出演しているからなんですが。


 渥美清存命中のラスト作にリリーが出演できたことは、それだけで感動的です。浅丘ルリ子は本作でリリーと寅ちゃんの結婚を願ったとのことですが、結ばれなくとも2人の共演があるだけで正直ありがたいです。
 2人の関係も変わらないっちゃ変わらないのですが、15年歳食っているため流れる空気感が穏やかです。若い頃ほどパワーがないため(特に寅ちゃんはね…😢)、喧嘩もドギツくないのです。リリーを送るときの寅ちゃんのセリフは、シリーズでついに、はじめての成長を見せたと言っても過言ではないかも!いや〜感動しました。


 ちょうど1995年の話というのも、なんか象徴的です。阪神大震災とオウム事件があり、日本が完全なる下降期に入った年。図らずとも寅さんが去るのにはぴったりのタイミングだったようにも感じます。

 寅さんは花神ですね。花咲か爺さん。自分はさておき周囲を幸せにする人。最後に被災地に赴いたのも、寅さんらしくて良かった。きっと花を咲かせているんだろうね。そして、日本を代表する花神が去った後、花が咲かない国になってしまった。
 しかし、また花神が戻ってきます。またこの国に花を咲かせてほしいと願ってやみません。


 あ、満男は顔も口調も生理的に好きではなく、満男編はしんどかった。ゴクミは流石の美人っぷりですが、セリフは棒だね。とはいえ、満男が泉にコクれたのはグッときましたよ!
 ところで、満男編になってから毎回徳永英明が流れるのだが、あの演出は謎すぎます!評判悪そうだけど、個人的には悪くなかった。今聴くと、徳永英明って超懐メロですね。
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