ペコリンゴ

ウィズ・ユーのペコリンゴのレビュー・感想・評価

ウィズ・ユー(1997年製作の映画)
4.0
記録。
大人には分からない2人だけの世界。

ロバート・レッドフォードの『普通の人々』でオスカー助演男優賞受賞経験のあるティモシー・ハットンの監督作。メジャーじゃないかもだけどハートフルな良作。

1960年代ペンシルベニアの田舎町を舞台に、モーテルを営む複雑な家庭で育った風変わりな少女と、少年のような心を持った知的障害者の青年が織りなす心温まる友情に心洗われる。

青年リッキーを演じるのはケヴィン・ベーコン。悪役の印象が強いかもしれないけど、幅の広い役者だということが分かる名演。少女ハリエット役は本作がデビュー作となるエヴァン・レイチェル・ウッド。最近ではアナ雪の王妃の声優も務めた彼女の瑞々しい演技も印象深い。

ハリエットの家族は2人の交流を快く思わない。これは分かっちゃう部分もあって、大切な娘に何かあったら…てのは親として当然の感情。一方で純粋なハリエットにはそれが分からない。

”親の心子知らず”ではあるんだけど、逆もまた然り。この物語が美しく感じるのは、失ってしまった純粋さに触れられるからなのかもしれない。

心が荒みがちな日常を送る大人にこそオススメです。