さかしょ

惑星ソラリスのさかしょのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
3.9
念願のタルコフスキー映画、やっとの思いで鑑賞。
流動的且つ広大に見せる自然風景とソラリスの模様、それに対比した機械的且つ閉鎖的な「狭苦しさ」を感じるステーションの模様、この映像美を70年代に完成させていたのか。SFの金字塔とも言うべき作品、しかしこれ程にまで叙情的で、繊細な作品をSFと呼んでしまって良いのか。まさに映画作家、映画詩人であるタルコフスキーの恐ろしさを目の当たりにさせられた。さっぱり理解出来ん。
科学の発展とその横暴に直面する当時のソ連だからこそ描けたのだろう。唯物論的世界観の蔓延。身体こそ物質化された幻想でない妻は、果たして本当に愛した人と言えるのか。記憶なき妻は、彼を映し出す鏡となるのか、彼に赦しを与える存在か。記憶なき彼女の問いかけに応じてゆくに連れて確かめさせられる彼の愛情、母への執着、悔恨、そして死——。その生成と消滅は、時には穏やかな揺らめきを、時には激しい渦を、そして最後には凍てつく水の運動のように。
そしてまた、新たな波が、惑星ソラリスに起ころうとしていた。
さかしょ

さかしょ