great兄やん

惑星ソラリスのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.1
【一言で言うと】
「想像を“創造”する海」

[あらすじ]
近未来、未知の惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生。その調査のために科学者クリスは地球を出発する。到着したステーション内は荒れ果て、先発の3人の科学者は皆、狂気の淵に立たされていた。そして、クリス自身も数年前に自殺したはずの妻ハリーの姿を目撃し、言い知れぬ衝撃を受ける。だがそれは、人間の意識を反映して具現化させるソラリス表面のプラズマ状の海の仕業だった...。

※再鑑賞レビュー
(初鑑賞日:2017/08/20)

通算2回目の鑑賞でだいぶ理解は追いついてきたが、多分だが完全にはまだ理解しきれていない部分が沢山ある(^◇^;)...やっぱ“天才”の考える世界は凡人の頭ではサッパリ分かりませんわ笑🤷‍♂️

前作『アンドレイ・ルブリョフ』から映像、ストーリー共に更なる極地へと到達したであろう今作ですが、なんてったって最初観た時はクッソ長ぇし眠ぃ!!!っていう印象しか感じませんでした😅
実際このテの映画は『2001年宇宙の旅』といい辛気臭い上にクッソ遅いテンポでしかも長尺というハードルがあるもんでして(ー ー;)...まぁ今となっては慣れたものですが、高校1年の頃ちょっと背伸びして観たあの時はホント色々と痛い目を見ましたよ(^_^;)

とまぁ過去の独白はこれくらいにして、とにかく相変わらず映像の美しさは半端じゃないが、今作に至ってはSFという設定も相まって、よりタルコフスキーならではの“唯一無二”な映像美を際立たせていましたね🤔
水草が水面に揺れるシーンや終盤の“雨”の演出など、水や光などの自然を駆使する描写は言わずもがな度肝を抜かれますし、たとえストーリーが難解であろうがその圧倒的センスで終始魅了されてしまう魔力を感じてしまう...

特に未来都市の交通網として当時の東京の首都高速になぞらえたあの一連のシーンはまさに斬新と言ったところ。
個人的にもかなり好きなシーンですし、たとえあのシーンが30分くらいあったとしても多分飽きなかったと思います笑

ただ『2001年宇宙の旅』と比べるとどこか宇宙船のセットが安っぽかったり、どこか迫力に欠けるものがあったりと、色々気になる点はあるものの正直タルコフスキーからしたらあんな所どうでも良かったのでしょうね(⌒-⌒; )...

とにかく人間とは?愛とは?心理とは?など、あらゆる哲学的な要素をふんだんに煮詰めた静謐かつ膨大な情報量に圧倒される一本でした。

今になって思ったが、この映画は”観る“というよりも”感じる“と言った方が適切だったのではないかとも思っている。
無理に思考するのではなく、”感覚“として感じ取らなければならない...宇宙が無限大ならば、今作から受け取れる”メッセージ”も無限大なのかもしれない。

分からないという事は、ある意味“恐怖”に近い。人間の想像の範疇を越えた事物は時に恐怖として襲い掛かっていき、次第に精神を蝕んでいく。

ラストシーンの何とも言えない怖さといい、人間時には思考を“放棄”する事も必要なのかもね🧐...