性悪説な世界観というか、生きてれば色々あるでしょうと、いわゆる類型的な善人が出てこない所が良かったです。
構造としては、ヤクザ同士の潰しあいという「用心棒」をベースにしています。
主人公二人は強いには強いですが
金で動きつつ、欲深くふらっと間の抜けたところもあり、またお互いを意識しつつも敵、味方を超えたユーモラスなやりとりもあったりと人間臭いです。
市に関しては、普段腰が低く、敬語をつかって慇懃でありながら、いきなり恫喝したりと得体の知れない怖さもあります。
用心棒にしても、ヒロインの梅乃に愛だ恋だの綺麗事以前に金銭で交渉するくだりなどがあるものの、駆け引きに翻弄されたりと憎めない雰囲気があります。
どっちがどっちの肩入れしたのか、途中どう変わったのか話は分かりにくいところがありますが、この二人とヒロインのキャラクター造形だけでも見応えがありました。
映画としては当然ですが、座頭市こと勝新と用心棒こと三船の対決が見所です。
そしてこの激突は両者ともに素晴らしいです。カットの割り方も有りますが、ふたりの殺陣がカッコ良いです。
そして二人のクローズアップがあるとやはり迫力がありますね〜。映画のアップ多用に否定的な意見をたまにききますが、個人的には全然ありと思いました。
映画はやはりキャラだな、と思わせてくれる一本でした。