通りすがりのナポリタン

吉原炎上の通りすがりのナポリタンのレビュー・感想・評価

吉原炎上(1987年製作の映画)
4.0
1度は見ておきたいと思い鑑賞!虚しさと美しさに溢れた吉原遊廓をこれでもかというほど残酷に描いた今作、鑑賞後はなんとも言えない辛さが残りました。

1907年明治40年、舞台は吉原の中梅楼という遊郭、父親の海難事故の賠償金のために売られた上田久乃(名取裕子)は花魁の中で1番人気の九重(二宮さよ子)の付き人になり吉原の世界を学んでいく、そして久乃から若汐という源氏名になり遊女デビューするが、恐怖のために逃げ出してしまった・・・

春の章から冬の章まであり、どの季節にも主人公となる遊女がおり若汐と絡んでいくことでストーリーが進んでいくオムニバス形式の映画!遊女の年季である6年という儚い時間を全力で生き抜く彼女達を季節で表していくのが面白かった。若汐は駆け上がっていくのに季節の遊女達は堕ちていく、そして若汐が最後に行き着く先の虚しさがなんとも言えなかった。吉原そのものがまるで若汐の人生のよう。ストーリーの都合上胸糞悪くなるシーンやトラウマになりそうなシーンも沢山笑特に噛んでのシーンはとんでもなく怖い笑映像はなんだかカラフルで綺麗だった。
吉原という世界は本当に残酷で働く女性たちの最後を嫌にも想像してしまった・・・男の夢である吉原は女にとって地獄なのかもしれない。

俳優さん達の体当たりの演技は必見!若汐役の名取裕子の体当たり具合は凄かった。恐怖で脅えていた彼女から花魁の気品と自身を兼ね備えていく強さのある演技もとても良かった。個人的にかたせ梨乃演じる菊川の勝気っぷりが良かった!

吉原の栄枯衰退を若汐を通して描かれていたのが印象な映画だった。やっぱり題材が題材で残酷で儚い映画だけど、吉原の世界の面白さやシステムを知ることが出来て面白かったです!