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聖なる嘘つき/その名はジェイコブのtorakoaのレビュー・感想・評価

4.0
1944年冬ポーランド、ユダヤ人地区。日常的に人々が殺害される中、自分もいつあっけなく殺されるか明日にも強制連行されるのではないか、いっそ自殺しようか、恐怖と不安と厭世観に苛まれながら暮らしている人々。背景は重いがコミカルに描かれていく。三谷幸喜作品を思い出す感じ。
しかしコメディとして観終えることはできない。彼らの置かれている状況がそれを許さない。どんな生活の中にも一瞬であろうともユーモアや明るさや希望はある、また必要なものなのだという作品として私は観終えた。主人公の目が一瞬捉える鳥の群れ。彼らの心情を表していると思う。
監督はゲットーで生活した経験があり、同様の経験を持つ俳優も出演しているとのこと。コメンタリーで語られていた(レンタルDVD)。

素敵俳優陣。すごくよかった。『グリーンマイル』で鼠と仲良しだった人が脇で出てる。表情にグッときた。不穏と物悲しさとコミカルさがない交ぜになってるような音楽もとてもよかった。

主人公が嘘をつくきっかけとなるちょっと困った人物にリーヴ・シュレイバーを起用したのは素晴らしいと思う。個性的な顔立ちでデカくて目立つので人物を把握しやすいのは観客にとって結構助かるし、喜びが溢れてる走りとか素早すぎて見落としそうなウインクとか抜き足差し足な感じとか、いいなーうまいなーと思う場面が随所にある。強面な見た目からは意外だが彼やっぱりコメディの才能ある。彼の良さが発揮されてる作品。主人公宅にミーシャ(リーヴの役名、ボクサー設定)のポスターが貼ってある。ウケた。
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