優しいアロエ

無防備都市の優しいアロエのレビュー・感想・評価

無防備都市(1945年製作の映画)
3.9
〈大戦下の苛烈な実情を刻印したネオレアリズモの金字塔〉

 第二次世界大戦。1943年9月にイタリアはドイツよりも一足先に白旗を挙げたわけだが、その後は終戦までドイツの占領下にあったらしい。本作は、そんな当時のローマに生きるレジスタンスたちを描いている。

 いよいよイタリアのネオレアリズモに挑戦しようと、手始めに一番有名なロッセリーニの本作を観たが、現代の映画感覚からするとやや平坦なものではあった。印象に残ったシーンといえば、アンナ・マニャーニが銃殺されるところくらいだ。

 「死ぬまでに観たい映画1001本」によれば、本作の斬新なところは、まず過酷な現実に生きる人々をドキュメンタリックに映したところ、そして当時としては自由なカメラワークであったらしい。しかしベルイマンの『沈黙』を観たあとだと映像も凡庸だな。昔の作品になるほど、それ以前の作品に精通していないと本当の価値がわからない。

 しかし、それでも現代人にもぶっ刺さる作品が眠っていることを信じて、もう少し追ってみよう。
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