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デッドゾーンのsleepyのレビュー・感想・評価

デッドゾーン(1983年製作の映画)
4.7
世界の終りを見てしまったら ****



原題:Dead zone, 1983年
キングの原作は未読。前半は予知能力を描き、恐ろしい場面も少しだけ見られるが、根底にあるものは望まぬ能力を得てしまったウォーケンの苦悩(そしておそらく恐怖も)。取り戻せない時間、巻き戻せない過去。失った人。世間ではフリーク扱いされてしまう。しかし、大事な人を見る眼差しの優しさ。本作の彼とその表情は素晴らしい。他人は彼の能力をGiftという。彼はCurse、あるいはSpellという。しかし彼はこの意味を悟る。

「普通」でないことがこれほどに孤独だとは。「フランンケンシュタイン」(の「怪物」)や異形の者の疎外。事故は運命だったかも知れないが、彼は自分で自分の行く末を選択し、自分に残酷であった世間を救う。本作のどこにもヒロイズムはない。

本作はいわゆるアメコミヒーローもの映画と、コインの裏表の関係にある。陰と陽といってもよい。センチかも知れないが不覚にも涙を禁じ得ない。

★オリジナルデータ:
原題The Dead Zone, 1983, US・Canada ,オリジナルアスペクト比(もちろん劇場公開時アスペクト比のこと)1.85:1, Spherical。103min. Color (Technicolor)、ネガ、ポジフィルム35mm
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