マヒロ

ハート・ロッカーのマヒロのレビュー・感想・評価

ハート・ロッカー(2008年製作の映画)
3.5
キャスリン・ビグロー監督の映画は『ハートブルー』『ゼロ・ダーク・サーティ』と観てきたけど、共通して「極限まで辿り着いてしまった人間」を描いているように感じた。

主人公は事故死した爆弾処理班班長の後任としてやってきた男で、周りも気にせず危険な場所に突っ込んでいくという、命知らず…というよりはもはや死にたがりのような人間。戦争によってタガが外れてしまったということなのかもしれないけど、過去に何が起きたかは殆ど語られず、何故そんな行動をとるのかがこちらには分からないのが恐ろしい。膨大な商品が陳列されたマーケットで立ち尽くす姿と、ラスト、危険なはずの任務にまた意気揚々と任務に向かう姿の対比が印象深い。

必ずしも任務が上手くいかず死人が出たり、ドライな切り口でドラマチックに盛り上げすぎないのは良いんだけど、戦争映画としての恐ろしさに欠けるかなという印象もあった。もうちょっと爆弾や銃弾の怖さとか、主人公の狂気を描いて欲しかったかな。

(2017.159)
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