馬井太郎

ハート・ロッカーの馬井太郎のレビュー・感想・評価

ハート・ロッカー(2008年製作の映画)
4.0
日本が中国に侵略していた頃の話である。斥候当番のBが、同年兵Aに話しかけた。
B「おまえ、眼がいいんだってな・・・」Aは、眼で頷いて答える。
B「だったら、あそこを歩いてる奴、撃ってみろ」
200㍍以上先の一本道を、農民がひとり歩いていた。Aは、連隊いちの視力、銃でもトップクラスの腕前だった。
B「一発で倒せなきゃ、信じないぜ」
Aは、意地になって弾丸をこめ、一発で仕留めた。
この体験談を、わたしは、今から約40年ほど前に、A本人から直接話して聞かされた。この映画を観て、そのことを思い出した。
小泉政権時代、自衛隊員5500人が、イラク戦争に後方部隊として派遣された。2年半の任務を終えたのち、戦地での死者はゼロだったが、帰国後、およそ20人が自殺し、さらに、多くの隊員がノイローゼに悩まされている、という。

荒野での銃撃戦は、標的「850㍍」というセリフ・字幕を見て、その長距離に驚かされた。このシーンをはじめとして、とにかく、息が詰まる。バックミュージック無し、ほとんどがハンディカメラ、この不安定なカットが呼吸困難を倍加させる。
爆弾処理の数は?と訊かれて、ジェームズ軍曹は、答える。「873個」・・・ものすごい数を、よくも憶えていられたものだ。

有史以来、地球上で人間同士の戦争は絶え間が無い。今現実にも恐怖が広がっている。映画の世界からも、戦争悲劇ものは、消えないだろう。・・・映画だけにしておこうよ。

追伸:トイレに行ってから、観ましょう。(この映画に限りませんけど)