【さいきょう】
「誰も守ってくれない(君塚良一)」のレビューで私は『家族とは 血を分けたから、同じ屋根の下に集うから家族なのではない。家族とは何か、如何に家族たるべきか、家族であろうと意識して初めて家族なんだ』と書いた。
同年公開の本作も『俺達は最強の家族だ』を以てその事を肯定する ― 血ではなく意識の結び付きであると―。
春(岡田将生)の行為は まさにその『想い』に駆られた結果だろうし………
と 書いた所で、春の行為が同時に血の繋がり(凶暴性の遺伝)でもある事に気付く。
「家族」が、想いや意識の結び付きである事を証明する事が、皮肉にも逃れられぬ血や遺伝を立ち上らせてしまうパラドックス。
最強の家族とは ― 不離一体の殺狂の家族でもある。
『俺達はさいきょうの家族だ』― 父(小日向文世)の言う簡潔な一語に、現代家族を考察する優れた普遍性/哲学性が漲っている。
《劇場観賞》