さっこ

地獄のさっこのレビュー・感想・評価

地獄(1979年製作の映画)
4.1
【生方家、家系図】


  夫婦   不倫↓    夫婦
🧔🏻──👩🏻ーー┳ーー👨🏻━┳━👩🏻‍🦱              
      ┃     ┃
        👩🏻─💕─👦🏻👨🏻‍🦲
        近親相姦
          
🧔🏻👨🏻は兄弟。

👨🏻‍🦲👦🏻は兄弟。

👨🏻‍🦲👦🏻と👩🏻は腹違いの兄妹。






①【ややこしいあらすじ】

男と身重の女が駆け落ちする。
男には妻がいた。
身重の女には亭主がいた。
怒った亭主(田中邦衛)が二人を殺す。
男の妻(岸田今日子)はそれを見殺しにする。
亭主と男は兄弟だった。

身重の女の死体から不倫の子供が産まれる。
その子供は施設に預けられる。

20年後、施設に預けられた娘(原田美枝子)は母親そっくりに成長して、岸田今日子の次男坊(林隆三)と偶然にも出会う。

次男坊は娘を好きになる。
そして自分の生まれた村の屋敷に連れて帰る。
次男と娘は即座にセックスしようとするが、未遂に終わる。

岸田今日子は自分が見殺しにした女そっくりの娘を見て恐れおののく。
また、長男(石橋蓮司)も娘を好きになる。
長男と娘は即座にセックスしてしまう。

この兄弟と娘は父親が同じである。
腹違いの兄妹であり、近親相姦である。

その後、娘は母親を殺した田中邦衛と、見殺しにした岸田今日子を殺害する。
そして次男坊と駆け落ちする。二人は自分たちが兄妹であることを知ったが、それでも一緒に逃げることを選んだのだった。
長男(石橋蓮司)は怒り狂い猟銃を持って追いかけてくる。

許されぬ恋愛。自分の女を奪われた男兄弟が殺しにくる。
まさに冒頭の繰り返しとなる。この物語が完全に呪われていることが明確になる。

だが、追っ手は崖崩れで全員死んでしまう。
なんとか逃げられた次男と娘は、山小屋でついにセックスをする。
しかし近親相姦は地獄行きだ。
山崩れが起き、小屋もろとも崖に落ちてゆく。
落ちながら二人はセックスをする。
いやセックスするなよ…😨

これ以降は落ちた先の地獄の話となる。
だが、その前の現世の物語がすでに地獄のようである。


記録的な失敗作らしく酷いところも確かにある。
しかし、人間の業や抜け出せない因果律が描かれていて恐ろしい物語だった😨





本作で冒頭とラストで挿入される山崎ハコの「きょうだい心中」という曲がこれまたすごかった。



https://m.youtube.com/watch?v=nQ5JGiNVpdI

↑Youtube(音源、歌詞付き)





【きょうだい心中】


くには京都の西陣町で
兄は二十一その名はもんてん

妹は十九でその名はおきよ
兄のもんてん 妹に惚れて

これさ兄さま御病気はいかが
医者を呼ぼうか介抱しよか
医者もいらなきゃ介抱もいらぬ
わしの病気は一夜でなおる

二つ枕に三つぶとん
一夜寝たなら病気がなおる
一夜頼むぞ妹のおきよ

言われて おきよは仰天いたし
何を言いやんす これ兄様よ
わしとあなたは兄妹の仲
人に知られりゃ畜生と言われる

実はわたしにゃ男がござる
年は十九で虚無僧なさる
虚無僧殺してくれたなら
一夜二夜でもさん三夜でも
末は女房となりまする

兄のもんてん 虚無僧殺す
深い編笠その下に
哀れなるかな妹のおきよ
かねて覚悟の妹のおきよ
兄のもんてん 妹を殺す

思い込んだる妹のおきよ
妹のおきよにだまされた
ここで死ねば きょうだい心中
兄は京都の西陣町で
哀れなるかよ きょうだい心中




この歌詞は西日本の各地に伝わる盆踊りの数え歌らしく、それに山崎ハコが曲をつけたものだ。
歌詞を読みながら聴いていたら暗い情念にゾッとし、身震いしてしまった。
実際にあった話なのではないだろうか…?😨





ずーんと暗くなったところでおしまい🤣
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