①
自分が若い頃、スピルバーグはちょっと軽く見られていた。
しかし当然そんな簡単な監督ではなく、スピルバーグの作家性はとても異常であり、本作にはそれがすごく出ていた。
映画愛をかたるような鬱陶しい作品ではなく、映画の呪いのような話だった…。
まず最初の呪いはキャンプで、見てはいけない母親の決定的な瞬間をカメラが捉えてしまうシーン。
ここは実際にJホラーみたいな見せ方で、小中千昭脚本、鶴田法男監督の本当にあった怖い話みたいだった。
あるいはある映像を繰り返し見続けるところはリングの高橋洋がよく描くシーンのようだった。（高橋洋「反復とは呪いである」）
②
スピルバーグといえば、恋愛が撮れないと言われているらしいが、本作はそこに自己言及したような内容でもあった。
高校時代に初めてできた彼女が狂信的キリスト教信者でなんだかコミカル。
それに反して自分をいじめるモテモテの最悪な同級生の肉体美をなぜか撮ってしまうという倒錯！
また本作のヒロインはなんといっても母親である。
スピルバーグの状況なら、母親に対して生涯思慕し続けるのは仕方ないのかもしれない。
が、それにしてもあのキャンプ場で母親が半裸でダンスするシーンの性的な感じ…気持ち悪いけどすごい😨異常なシーンだった。
未知との遭遇を初めて見たときはなんだコレ？？ってなったんだけど…本作を見ると「そ、そういうことだったのか…」と合点がいくような作品である。
③
クランクインのとき、スピルバーグは役者たちを集めてこう言ったらしい。
「本作はボクのプライベートな内容だけど、皆んなはそんなこと気にせず演技してくれ。気を使うのは監督のボクの役目なんだから」
ところが、翌日、衣装メイクをしてスピルバーグの前に現れた父役と母役の役者を見た途端、スピルバーグは号泣してしまったらしい。
スピルバーグが遠い昔に失ってしまった家族を思う気持ちが伝わってくる舞台裏エピソードである。
本作の家族愛にはもちろんなんの拒否反応もない。感動…🥲
（…だからオレはサイコパスではないよ）
ﾚﾋﾞｭ-終
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さて、ここからは怖い話です。
映画とは関係ないので好きな方だけ読んでください。
今回も友人Kに聞いた話です。
【トンネル 二題】
一つ目。
🚙
Kが大学の頃の話（北関東）。
あるとき、友人たちが数人で心霊スポットに行くことになった。
Kも誘われたが、大変な怖がりなので当然断った。
彼らは、近くの有名なトンネルに行ったらしい。
皆んなでワイワイ言いながら「ばけとん」に入った。
しかし、当然というか、何事もなく通過してしまった。
まぁ普通はそんなものである。
幽霊の出るという噂がある「ばけとん」は全国に無数にあるだろう。
「ばけとん」と言っても普通に使われているトンネルである。
ただ、山深いところにあって夜間誰も通らなくて気持ち悪い感じがするから、変な噂が立つのだろう。
🚙
無事にトンネルを抜けて、「何もなかったなー」などと言っていた。
すると、急に車がゆっくりになり、ついに停車した。
え、どうした？
おい、あれなんだと思う？
運転手が言う道の先の方をよく見ると、遠くのほうに一人、ひとが立っていた。
それは女性であった。
髪の長い女性が白っぽい服を着て道の先に一人で立っている。
すでに深夜0時をすぎている。こんな時間に女性が一人で山の中の道に立っている…。それは明らかにおかしい。
「なぁ、もしかして…あれって…」
その女性のいる方に向かうことはできなかった。
車を幾度か切り返してUターンして、再び「ばけとん」に入り、来た道を戻ることにした。
行きのときのふざけた空気は一切ない。
猛スピードで走った。
誰もその場ではっきり言わなかったが、あの女性は幽霊である。
ある人は頭の中に女性の幽霊が後ろから追いかけてくるビジョンが頭に浮かんでいて、トンネル内で後ろが気になってしまい怖くてたまらなかったという。
🚙
結局、帰りも何事もなくトンネルを通り抜けることができ、無事に町に戻ることができた。
明るくなるとようやく皆んなホッとした。
途中でコンビニによって休憩することにした。怖かったなー、と再びワイワイ言い合った。
すると、一人が「ちょっとこれ見て」という。
見ると車の窓ガラス一面に手形がペタペタと無数についていたという。
二つ目。
🚗
こちらは社会人になってからの静岡県での話である。
これは心霊スポットとして有名な場所ではなかったらしい。
10年ほど前のこと、Kの職場の当時40代のYさんの体験談である。
ある夜、用事があって遅くなって帰宅していたYさん。すでに23時を回っていた。
車で山のトンネルに入る。
ここはけっこう長いトンネルである。
入ってから出るまで数分を要するトンネルだ。
しかし、行けども行けども、トンネルの出口は一向に現れない。
どんなに長くても数分で通過できるはずだ。
しかしもう…。車の時計を見る。明らかにもう10分以上経っている。
🚗
10分という時間は絶対におかしい。
それに気づいてからはもうずっと恐怖だったという。
やっぱりどんなに走っても出口は見えない。
もう何分走り続けているのか？
それでも途中で止まったり、車から降りたりすることもできなかった。それはそれですごく怖いので。
Yさんは飲酒運転していたのでも、薬物を摂取していたわけでもない。
何をしたというわけではないが、発狂しそうな気持ちを抑えてとにかく車を走らせていると、ようやく出口が見えた。
そうしてようやくトンネルを抜けられた。
結局、一つのトンネルを抜けるのに、
なんと「1時間」もかかったのだという。
不思議な話である。
終。
