偽名祐司

イップ・マン 序章の偽名祐司のレビュー・感想・評価

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)
3.0
ブルース・リーの武術師範として有名な実際の武術家・イップマン(葉問)が主役の格闘アクション映画。
時代設定で日本軍が出ますが池内博之等の日本人が普通に出演してます。空手が相手よって事で。

話はアプリ参照で。
1935年広東省。多くの中国武術が盛んな街で最強と呼ばれるイップマンは詠春拳の使い手。妻のウィンシンと幼い息子と共に静かに暮らしていた。武名を高めようとする別流派や、街を荒らしにくる道場破りを軽くあしらう平和な日々。
それは日本の中国への侵攻という歴史の流れに崩れ去る。
占領下の仏山市でイップマンはどう生き延びていくのか。

史実を多少は元に作られてはいるのでしょうが一芸に秀でている人というのは周囲に助けられて生きている事が多い気がします。
武術版「戦場のピアニスト」的な。
ドニー・イェンの落ち着いた佇まいが完全にイップマンというか師父(せんせい)と呼びたくなる風格を備えておりまして。
詠春拳の動きの紹介とも言える前半の闘いは師父完全に手抜きで戦ってるのが良く解ります。

拳法では負け無しのイップマンの敵は世情だったり妻ウィンシンの微妙な無理解だったり。一個人がどれだけ強くてもどうにもならない事が歴史の流れの中でよく伝わります。
そこに翻弄される師匠を助けてくれるのが、工場経営者の周さんや元署長の李さんとか周囲の人々でして。イップマンの人徳だなあと感じます。ウィンシンさんちょっとわがまま過ぎないかな?と思わないでもないですが。素直に後半の仲良くしてるシーンや、無言で拳を治療するシーンはじんわりきて良いです。

中盤遂に日本軍の空手使い10人と怒りのままに戦う時に炸裂するイップマンの本気が凄い。袖を完全に捲り、容赦なく顔を連打し、関節を瞬時に破壊する凄まじさ。モノクロで色がほぼないシーンで美しく必見に値します。

一流の空手家という設定の日本将軍三浦の池内博之も結構良いアクションしてます。悪役として格があるかは別として。
イップマンとの決闘シーンも良い殺陣を見せてくれます。
この辺に来るともはや完全にイップマンの扱いがヒーロー映画的になってるのが不思議。

色々エピソード詰め込んだので話としてはあまり纏まってないのですが。武術アクション映画としては十分な出来だと思います。気になった人はどうぞ。
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