偽名祐司

ソニック・ザ・ムービーの偽名祐司のレビュー・感想・評価

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)
3.8
世界最速のハリネズミ、スーパーマリオに並ぶ世界的ゲームキャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の実写映画。
当初のデザインが全世界から突っ込みを受けて修正をするニュースで一瞬話題になり不安な予想しかなかったのですが。
意外に中身は良く出来ています。

話はアプリ参照で
光速と様々な力を持つソニックは幼い頃にその力を狙われ、一人別世界から地球に逃げてきた。
それから10年。
アメリカの片田舎グリーンヒルズでソニックは町の住人には一切姿を見せずに勝手気ままに生きていた。気楽に生きてるが10年の孤独はソニックを苛み、うっかりソニックは力の一端を発動させ周囲全域を停電させてしまう。
正体不明の停電の原因を探るべく優秀だが軍の嫌われ科学者Drロボトニックが動き出す。
あっという間に追い詰められたソニックはグリーンヒルズで唯一、一方的に心を許す善人保安官トムの家に逃げ込む。

成り行きでトムとソニックは共に逃避行をする羽目に。二人の凸凹コンビの逃走はうまくいくのだろうか。

名探偵ピカチュウとかと同様で今やCGで人間と人間外の生き物が競演してもそんなにおかしくない映像が作れてしまうこの時代。
ソニックとドーナツキング・トムのバディムービーは悪くないです。

ソニックのデザインは世界中から「おいぃ?いくら何でも作り直せよ?」と突っ込みをもらったお陰で結構見れる感じになってます。
…うん、その…幼少時の奴は…目をつぶってやって!?っていうかね、ナックルズ族とかラストで平然と出てくる〇〇〇〇とかゲームまんまなんだから素直にソニックもゲームまんま持ってくれば良いのにな?と思わずにいられません。

話としてはゲームの前日譚的な設定でして。
これも良くある感じですが、割ときっちりゲームに対する敬意がきちんと見られて丁寧な作りになってます。
OPのロゴで回る星がリングだったり、リングの設定を使ってワープ装置としたり、同時に貴重品として拾い集める事にしたり。

音楽や小ネタ、町の名前等、割と上手い事使われてます。
ゲームおなじみのローリングアタック、数少ないチャームポイントの赤いシューズ設定も回収し、ゲーム実写化の最初の作品として良く出来てます。

話もメインはバディロードムービーではあるのですが主役の二人がきっちりと対比対象になっています。
誰も友達はいないけどグリーンヒルズで大事な人々とずっと暮らしていたいソニック。
周りに友達は多いけどグリーンヒルズを出て自分の力を試したいトム。
二人が出会いお互いを知っていくうちにそれぞれの持ってるもの、求めてるものを見つめなおす展開は王道です。

そのベタな物語を引き締めるのが悪役のDrロボトニックを演じるジム・キャリー。
コメディ俳優として超優秀な彼が演じるロボトニックがまた実に濃いキャラになってまして。
ソニックと同じレベルで良く喋り、ボケて自分で突っ込む、途中では踊り出す始末。
良い作品には良い悪役が必要ですがロボトニックはそれを十分に満たします。
ある意味Drエッグマンと呼ばれる事になる彼のオリジンの話とも言える位です。ラストの展開はゲームを知ってる人にはテンションが上がるかと。

EDもゲーム映画では最早おなじみドット絵アニメーションになってます。
ここもゲームに敬意を表した感じです。

総じてゲーム原作映画としてもエンタメ作品としても良く出来ております。個人的にはクラッシュ40だったり、後期3D以降のソニックシリーズにおなじみのテンション上がる系の音楽をもっと使って欲しかったので減点ですが、是非2作目も作ってほしいと思っています。
元ネタ知ってる人はぜひどうぞ。
偽名祐司

偽名祐司